著者
榎本 兵治 木下 睦 金 放鳴 田路 和幸 篠田 弘造 洪 承燮
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

水熱反応による有機化合物の資源化(炭素質物質の循環)反応における水の反応溶媒としての直接的な関わり、ならびにヘテロ原子近傍の構造が反応に及ぼす影響について調べ、資源化反応の最適条件を検討するための基礎的知見を得ることを目的とする。平成11年度から12年度かけて設計製作した高温高圧セルを用いて平成13年度は亜臨界〜超臨界水中における有機物のラマン散乱スペクトルを観察することにより、熱反応により生成した化合物の反応物、生成物の相違をその場反応の観察を可能にする実験系を確立することを目的として構造解析を中心に検討した。1.超臨界水振動分光解析システム、現有設備であるNMR、GCMSを用い、反応前後での有機化合物中のヘテロ原子を中心とした構造の変化について解析するための基礎的な検討をビチュメン中の硫黄化合物について行った。2.その場反応観察セルを用いた高温高圧条件でのラマン散乱スペクトルを測定し、他の研究グループが報告している超臨界水のOH伸縮振動の温度シフトならびにピークのシャープ化を確認し、装置の性能を確証した。引き続きアルカリ水溶液を用いた系の温度シフトを測定すると共に、モデル化合物として低分子硫黄化合物を用いた超臨界水中での分解実験を行い、その場反応スペクトル解析による、中間生成物を含む反応物、生成物の構造変化のデータを取得し、その他の超臨界水熱反応系にも応用可能な実験系であることを確かめた。また、アルカリを含む超臨界水中での有機物のラマンスペクトルの測定は過去に例を見ない。