著者
洪 金子 関口 恵美 金 東洙
出版者
東京福祉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

平成14年度:依存症と共依存に関する文献と共依存尺度に関する収集及び、探索に重点を置きながら、共依存症者のためのグループワークプログラムの方向性を模索するため、Meadowsのワークショップに参加した。研究としては、DVの研究に重点を置いた。依存症者の環境的要因の中で、逆機能的家族と依存症との高い相関関係は多くの研究結果で証明されている。家族の逆機能は、依存症者自身への自傷をはじめ、相手に対する暴力やDVの原因であるため、当該年度は暴力をテーマとする研究に重点をおき、論文を発表した。平成15年度:主にグループワークに関わる研究に重点を置きながら、30個に達する共依存尺度を日本語に翻訳し、アンケート調査に備えた。グループワークが自我成長に及ぼす影響については、専門的社会福祉援助技術であるグループワークを通して自我の成長を促すことができるかを解明しようとした。自我成長は防御機制の変化をもって測り、未成熟防御機制はグループワークの介入が減ることによって、成熟防御機制は増えることによってその有効性を評価した。結果、特に依存症の特徴とも言える否認が減り、依存症の介入策としてのグループワークの有効性を証明した。平成16年度:研究のまとめ作業として、共依存尺度の項目を完成させ(12の下位尺度とそれぞれの下位尺度に5つの質問項目を入れ、60個の質問項目になっている)、共依存患者グループ(91名)と健常者グループ(114名)を対象として調査を行った。本研究の結果、信頼度が非常に高い独自の共依存尺度を開発することができた(総11下位尺度に53質問項目で構成される)。(Reliability Coeffcients Alpha=.9283)なお、グループワークモデルとしては目標形成モデルに基づき、目標が社会的である場合と治療的である場合の両方の関係性に分け、共依存症者に適用するプログラムを開発した。