著者
浅利 裕伸 洲鎌 有里
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.30-33, 2019 (Released:2019-02-20)
参考文献数
14

帯広広尾自動車道建設による野生動物の生息地分断化を解消するため,野生動物用オーバーパスが設置された.この効果を検証するため,自動撮影カメラを用いて2017年5月~11月に利用種のモニタリングを実施した.野生動物用オーバーパス周辺の森林に生息する種とオーバーパスの利用種に大きな違いはなく,撮影頻度も有意に異ならなかったことから,周辺に生息する哺乳類が構造物を十分に認識および利用していることが明らかになった.また,ニホンジカとアカギツネでは継続的に多数の利用がみられた.特にニホンジカでは,定着個体による利用のほか,季節移動による利用もみられた.これらのことから,帯広広尾自動車道の野生動物用オーバーパスは,中大型哺乳類にとっては有効に機能していると考えられた.