著者
市川 りさ 石垣 しのぶ 松村 充 浅原 美和 厚川 喜子 斧 康雄 古川 泰司
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.299-306, 2018-05-25 (Released:2018-05-30)
参考文献数
7

多くのCorynebacterium属菌は,グラム陽性の桿菌で棍棒状や松葉状の形態を示す。今回血液培養液を用いたグラム染色でブドウ球菌様の形態を呈するCorynebacterium属菌を検出した。そこで,Corynebacterium属菌がグラム陽性球菌様の形態変化を起こす可能性の有無,その菌種同定と原因の解析を行うため,培養条件を変えて検討した。また,誤同定した際のマイクロスキャンComboパネルを用いた同定検査に及ぼす影響を調査した。さらに,Corynebacterium属菌の薬剤感受性を測定し,MIC分布および薬剤感性率を集計した。球菌様の形態変化を示したのはCorynebacterium striatumおよびCorynebacterium simulansの2菌種であり,液体培地を使用し嫌気培養条件下で形態変化を示した。また,マイクロスキャンComboパネルにおいては,Micrococcus sp.と誤同定された。薬剤感性率はすべての菌種が,対象とした薬剤のうちバンコマイシン(VCM)に感性を示したが,VCMのみに感性を示す高度耐性株も存在した。血液培養から分離されるCorynebacterium属菌は一般的に血液培養検査にて汚染菌とみなされることが多いが,誤同定することで患者の不利益につながる恐れがあり,また,高度耐性を示す株も存在することから院内感染対策上重要であると考えられる。そのため,様々な情報を考慮し,慎重な検査を実施しなければならない。