著者
浅子 里絵
出版者
佛教大学大学院
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
no.49, pp.73-88, 2021-03-31

本研究は大正14(1925)年に発生した北但馬震災について、「田結村文書」から兵庫県港村田結の震災被害の状況と救護活動を読み解いたものである。震災は震源地に近い田結の住家を倒潰させ、甚大な被害をもたらした。田結では震災直後に全戸におよぶ被害調査を実施し、詳細な記録を残している。その調査をもとにして罹災民への支援品や御救恤金・義捐金の分配といった救護活動が行われたとみられる。「田結村文書」の記録からは田結の集落の規模に合わせた震災対応の手法がみえてくる。またこの文書の存在により、こうしたミクロ単位での調査が同時代の災害において他の町村でも行われていた可能性が示唆される。ミクロ単位の調査を基として地域全体の被害状況を把握したと考えられよう。北但馬震災田結村文書震災被害救護活動
著者
浅子 里絵
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.47-62, 2014-03-01

本研究は、兵庫県豊岡町の市街地を対象に、大正14(1925)年に発生した北但馬震災における行政と罹災民の動向とその復興過程における市街地の変容を検討した。公的な記録や新聞記事等の資料を用いて震災直後の被災地のバラックの展開状況を復原し、またバラック建設や商売の開始、公的機関の建造物の設置など、時間の経過とともに次第に変化する震災対応から、市街地が復興する過程にはまず「緊急措置」があり、その後「復興計画準備」と「復興計画実施」という段階が存在することを明らかにした。また震災による復興計画は豊岡町の景観に影響を及ぼし、昭和初期に新市街地が形成され、拡大していくこととなった。