著者
桑村 信博 谷口 研二 浜口 智尋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.221-228, 1994-05-25
被引用文献数
25

単一電子トンネル現象では個々の電子の動きそのものに意味があり電流という概念はほとんど意味をなさないため,この現象を応用した回路の解析には従来からの回路シミュレーションの手法が適用できない.そこで我々は個々の電子の動きを扱うことのできるモンテカルロシミュレータを作成し,このシミュレータを利用してTucker^(1)によって提案されている疑似CMOSインバータ回路の過渡的な動作特性を評価した.その結果,負荷容量の値によって疑似CMOSインバータ回路の出力が異なってくることがわかった.また動作速度についても,1aFの容量をもったトンネル接合が精度良く作製できれば約10psの伝達遅延時間が可能であるという結果を得た.更にインバータ出力分布の標準偏差を調べることにより,インバータ回路を集積化した場合の動作温度の限界について定量的な考察を行った.
著者
カジ D.M.コースル 谷口 研二 浜口 智尋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.71-78, 1994-04-21

極薄い酸化膜厚のp型MOSトランジスターを用いて,基板への正孔注入実験を行い,酸化膜中での正孔の捕獲及び捕獲された正孔の緩和現象を調べた.酸化膜中での正孔の捕獲は,注入正孔密度が10^16>cm^-2>を超えたあたりで飽和する現象を観測した.注入後酸化膜中に捕獲された正孔が時間と共に緩和され減少し,その機構が酸化膜電界の符号によって異なることがわかった.酸化膜電界による緩和を詳しく説明し,熱処理について調べた結果を示した.