著者
浜田 明美 林 淳一
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.1073-1081, 1989

来聘と参向という幕府の公式行事の饗応に用いられた膳組について, 膳組の格式と客の身分・役職との関係を中心に検討し, 格式を重視した江戸幕府の饗応の形態を構成していく過程と膳組の格式を区別している要素を明らかにすることができた.<BR>1) 江戸幕府の身分と格式を重視し, 上下の関係を規定した封建制は, 料理面においては饗応の膳組の格式の細かい区別という形であらわれていた。<BR>2) 膳組の格式を区別する要素として, 膳と菜の数, それに続く膳と菜の数, 材料の差, 菓子の種類と出し方, 膳と器の種類, 膳と器の組み方の六つの要素があることを明らかにした.<BR>3) 膳組の格式は, 饗応の種類と客の身分・役職で決定される.この二つに六つの要素を対応させて客にふさわしい膳組を構成していく過程を明らかにすることができた.