著者
五十嵐 治義 佐藤 陽子 浦井 仁子 滝田 芳子 遠藤 初恵 浜田 節男 川崎 徹
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.238-245, 1980

benzoic acidとphenylacetic acidにγ-dialkylamino-β-hydroxypropyl (〓) を導入してesterificationした化合物10種を新たに合成し, それらの抗炎症作用始め腸管作用, 鎮痛作用などの薬理作用に, かなりの活性を有することについてすでに報告した。今回は, これら新化合物の化学構造と局所麻酔作用との相関性を検索することを目的として, 家兎による表面, 浸潤麻酔作用などの検定を行なった。その結果, 全化合物とも, 表面麻酔作用よりも浸潤麻酔作用の持続時間が長かった。また, alkylbenzoate誘導体 (II群) が, alkylphenylacetate誘導体 (I群) よりも表面, 浸潤麻酔作用とも持続時間の延長が認められた。一方, 麻酔導入においては, II群がI群よりもsharpであり, 消失し始めから完全に消失するまでの麻酔作用凝陽性の過程は両群とも優位の差は認められなかった。両群間の種々な作用における差異について, 立体分子モデルを用いて, 立体構造的および電子論的考察を加えた。すなわち, II群がI群よりも, 化学的, 立体構造的に安定性が大であること, また, receptorとの親和性が強いことなどが推論された。一方, 毒性面からこれらの化合物は, 普通薬に属していると思われる。