著者
阪下 暁 尾本 篤志 大村 知史 角谷 昌俊 大下 彰史 木村 雅喜 浦田 洋二 福田 亙
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.121-127, 2017-06-30 (Released:2017-09-06)
参考文献数
20

症例は24歳女性.指趾末梢のチアノーゼ,レイノー現象,疼痛を認めて当院を受診した.高度の末梢循環不全とCRP上昇,赤沈亢進,Dダイマー上昇を認めたが自己抗体はすべて陰性であった.足底の皮膚生検で中型血管にフィブリノイド壊死を伴う血管炎を認めた.皮膚以外に臓器障害を認めず皮膚動脈炎(CA)と診断した.プレドニゾロン40㎎/日の投与にて皮膚症状は著明に改善した.末梢循環不全の原因としてCAを考慮する必要がある.
著者
川辺 民昭 黒木 登美子 三宅 秀一 古市 佳也 金岡 明博 浦田 洋二 鷹巣 晃昌
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.49-55, 2005-03-22 (Released:2011-11-08)
参考文献数
8

目的:ネフローゼ症候群 (NS) の尿中に出現する卵円形脂肪体 (OFB) の細胞学的特徴および細胞起源, 臨床的意義について検討した.方法:尿中にOFBを認めたNS患者31例を対象とし, 細胞学的に検討を行った. うち15例については免疫組織化学的に検討し, 腎生検が施行された16例には組織学的検討と臨床経過を調査した. 対照にはOFBの出現を欠くNS患者15例を用いた.結果:OFBは孤立散在性または細胞集団として出現した. 細胞集団のOFBのなかには, 核の重積性や核濃染を示すものがみられた. 免疫組織化学的には, 集団を作るOFBはCK陽性・CD15陽性・EMA陰性を示し, 孤立散在性のOFBの大部分はCD68陽性・CK陰性を示した. OFB出現症例の腎生検組織には, 尿細管萎縮・間質線維化・間質CD68陽性細胞などが多く認められ, 透析療法に移行した例が対照より有意に多かった.結論:OFBの細胞由来として近位尿細管上皮細胞とマクロファージが示唆された.NSにおけるOFBの出現は, 予後不良を示す因子と考えられた.また細胞集団で出現するOFBのなかに異型性を示すものがあるので, 注意する必要がある.