著者
阪下 暁 尾本 篤志 大村 知史 角谷 昌俊 大下 彰史 木村 雅喜 浦田 洋二 福田 亙
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.121-127, 2017-06-30 (Released:2017-09-06)
参考文献数
20

症例は24歳女性.指趾末梢のチアノーゼ,レイノー現象,疼痛を認めて当院を受診した.高度の末梢循環不全とCRP上昇,赤沈亢進,Dダイマー上昇を認めたが自己抗体はすべて陰性であった.足底の皮膚生検で中型血管にフィブリノイド壊死を伴う血管炎を認めた.皮膚以外に臓器障害を認めず皮膚動脈炎(CA)と診断した.プレドニゾロン40㎎/日の投与にて皮膚症状は著明に改善した.末梢循環不全の原因としてCAを考慮する必要がある.
著者
上田 凌大 今井 啓輔 山本 敦史 猪奥 徹也 角谷 昌俊 濱中 正嗣
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.624-629, 2021 (Released:2021-09-28)
参考文献数
19

症例は57歳男性.1型糖尿病と気管支喘息,副鼻腔炎の既往あり.上気道炎罹患後,急速進行性の手袋靴下型の感覚障害と左右非対称性の運動障害を生じた.血液検査で好酸球増多,神経伝導検査で多発性単神経障害をみとめた.好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis,以下EGPAと略記)とGuillain-Barré症候群(Guillain-Barré syndrome,以下GBSと略記)を疑い,免疫グロブリン大量静注療法とステロイドパルスを実施するも奏効せず,腓腹神経生検による血管炎の病理診断後にシクロホスファミドパルス療法を追加すると,症状は改善し血中の好酸球数も正常化した.GBS様の急性経過をとるEGPAでは早期の神経生検による診断と適切な免疫療法の選択が重要である.
著者
山本 相浩 河野 正孝 茎田 祐司 藤岡 数記 永原 秀剛 村上 憲 藤井 渉 中村 薫 妹尾 高宏 角谷 昌俊 川人 豊
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.334b-334b, 2012

Allograft inflammatory factor-1(AIF-1)はラット異所性心移植モデルにおいて同定された分子量約17 kDのポリペプチドである.これまでに我々は,関節リウマチ患者の関節滑膜組織において,AIF-1の発現が滑膜細胞,単核球,線維芽細胞で亢進していることや,AIF-1が滑膜細胞の増殖,及び滑膜線維芽細胞やヒト末梢血単核球(PBMC)のサイトカインIL-6産生を促進することを報告している.前回,健常人のCD14陽性単核球において,RNA MicroarrayでAIF-1刺激による発現遺伝子を網羅的に検索し,ケモカインCCL2, CCL3, CCL7が高発現することを示した.また,これらケモカインのELISAでの定量的評価や,Cell Migration Assayでの細胞遊走能の評価も行った.今回さらに解析を進め,CCL2, CCL3, CCL7以外にもIL-6やCCL1の発現が亢進していることを明らかにし,定量的評価や細胞遊走能の評価も行った.関節リウマチにおけるAIF-1のサイトカイン・ケモカイン産生能および細胞遊走能について,考察を交えて報告する.<br>