- 著者
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浦谷 裕樹
大須賀 美恵子
- 出版者
- 日本バイオフィードバック学会
- 雑誌
- バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.1, pp.19-26, 2014-04-25 (Released:2017-05-23)
- 被引用文献数
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1
自然災害や事故・事件等の影響により,その後一定の割合で心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する子どもたちがいる.その予防のために心のケアを必要とする子どもは多く,予防法の一つとして心身を落ち着ける呼吸法を身につけることが挙げられる.そこで,幼児・小学生たちが効果的に呼吸法を学びリラックスすることができるバイオフィードバック機能付きのぬいぐるみを開発することにした.お腹の上下運動により呼吸を誘導する呼吸誘導ぬいぐるみを開発し, 4〜12歳の健康児48名(男子26名,女子22名)を対象に呼吸誘導の効果を評価する実験を行った.生理指標として脈波と呼吸を計測し,ぬいぐるみが誘導した呼吸周期と参加者の呼吸周期の同期率を算出し比較したところ,呼吸をうまく合わせられた適合群(20名)と合わせられなかった不適合群(28名)の2群に分かれることがわかった.同期率には年齢による差があり, 6歳以下では呼吸誘導されづらいこと,また若干の性別差もあり,女子の方が男子よりもやや呼吸誘導されやすいことがわかった.呼吸誘導によってリラックスできるかどうかを調べるのは今後の課題である.