著者
中川 千鶴 大須賀 美恵子
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.31-39, 1998-06-30 (Released:2017-02-01)
参考文献数
35
被引用文献数
5

Recently, "Virtual Reality"(VR) has become one of the most attractive new technologies. VR isalso knownas"Virtual Environment", or VE. Inthis paper, we usetheterm "VE" because we are not working on training simulators but instead on systems for general users. VE technology has rapidly advanced and offers many promising applications in such areas as training, medicine and so on. However, a potential hazard to users of virtual environments has been found: some users complain of discomfort during and after the experience. This phenomenon is similar to motion sickness and has been called "simulator sickness". There is a direct link between simulator sickness and sickness in virtual environments: both are forms of visually-induced motion sickness. However, we believe there is a significant difference between general-purpose VE and simulators for special training. This report surveys the literature on simulator sickness and motion sickness in relation to discomfort in virtual environments, especially from the point of view of autonomic nervous system (ANS) responses. We hopethis research can suggestways to combat such risksto users and contribute to the expansion of safe VR and VE technologies.
著者
浦谷 裕樹 大須賀 美恵子
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.19-26, 2014-04-25 (Released:2017-05-23)
被引用文献数
1

自然災害や事故・事件等の影響により,その後一定の割合で心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症する子どもたちがいる.その予防のために心のケアを必要とする子どもは多く,予防法の一つとして心身を落ち着ける呼吸法を身につけることが挙げられる.そこで,幼児・小学生たちが効果的に呼吸法を学びリラックスすることができるバイオフィードバック機能付きのぬいぐるみを開発することにした.お腹の上下運動により呼吸を誘導する呼吸誘導ぬいぐるみを開発し, 4〜12歳の健康児48名(男子26名,女子22名)を対象に呼吸誘導の効果を評価する実験を行った.生理指標として脈波と呼吸を計測し,ぬいぐるみが誘導した呼吸周期と参加者の呼吸周期の同期率を算出し比較したところ,呼吸をうまく合わせられた適合群(20名)と合わせられなかった不適合群(28名)の2群に分かれることがわかった.同期率には年齢による差があり, 6歳以下では呼吸誘導されづらいこと,また若干の性別差もあり,女子の方が男子よりもやや呼吸誘導されやすいことがわかった.呼吸誘導によってリラックスできるかどうかを調べるのは今後の課題である.
著者
大須賀 美恵子 達野 陽子 下野 太海 平澤 宏祐 小山 博史 岡村 仁
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.213-220, 1998-12-31 (Released:2017-02-01)
参考文献数
13
被引用文献数
3

This paper discusses the possibility of applying Virtual Reality (VR) techniques to the mental care of patients. It describes the results of a basic study and the development of a system for implementing a new concept we call "bedside wellness". The system aims at improving the quality of life for bedridden patients. A prototype system intended to reduce stress and facilitate movement was proposed and developed based on a basic study. It provides a virtual walk through a forest by using VR technology and foot devices installed on the bed. The system was evaluated by an experiment with healthy subjects. The data suggested positive effects of the system; however, points for improvement were also learned. After making some of these improvements, clinical use of the system has begun.
著者
浦谷 裕樹 大須賀 美恵子
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.428-434, 2015-12-20 (Released:2016-09-28)
参考文献数
16
被引用文献数
4 4

自然災害や事故・事件等の影響により,その後心の病である心的外傷後ストレス障害(PTSD:posttraumatic stress disorder)を発症する子どもたちがいる.心身を落ち着ける呼吸法の習得によりPTSDの症状を改善できるといわれている.そこで,子どもたちがリラックスできるように,2つのエアバッグを用いて呼吸計測をしながら,腹部を上下させて呼吸誘導ができる呼吸誘導ぬいぐるみを開発した.7 ~10歳の健康な女児12名を対象に評価実験を実施した結果,エアバッグのセンサで呼吸計測ができ,ぬいぐるみの腹部の動きによる呼吸誘導が可能であることが示された.開発した呼吸誘導ぬいぐるみによるリラクセーション効果の検証は今後の課題である.
著者
山田 晋平 三宅 晋司 大須賀 美恵子
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.295-303, 2012-12-15 (Released:2013-03-02)
参考文献数
33
被引用文献数
7 6

精神疲労を評価し得る指標の探索を目的として,文書によるインフォームドコンセントを得た15名の男子大学生に,暗算(20分間5試行計100分間)を課した.暗算の前後には安静(5分間)を取らせ,さらに疲労を回復させるための休息(約20分間)後にも安静(5分間)を取らせた.また,暗算の各試行と安静の後に,主観指標と視覚探索課題の作業成績を計測した.暗算中と安静中は、後述の生理指標を測定した.解析においては,精神疲労を対象とするため,安静時と暗算時の比較ではなく,暗算の前後と休息の後の3時点の安静時の比較を行った.その結果,疲労に関する訴え,視覚探索課題の探索時間,心拍数,鼻部血流量,心電図R-R間隔変動係数,心拍変動指標の低周波成分と総パワー値に有意な変化が確認された.これらの変化は,精神疲労によって生じたと考えられ,これらの指標で精神疲労を評価できる可能性が示唆された.
著者
中川 千鶴 大須賀 美恵子 竹田 仰
出版者
Japan Human Factors and Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.131-138, 2000-06-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
22
被引用文献数
6 5

近年, 仮想環境 (Virtual Environment: VE) の技術は著しく進歩しており, 多くの分野で普及しつつあるが, 一方で, VEシステムの利用時・利用後に生じる「酔い」の問題が顕在化し, その低減や防止策が強く望まれている. そこで, 我々は, VEシステム利用時の嘔吐に至らない程度の軽度の「酔い」を簡便かつ客観的に評価する手法を検討した. 13名の健常成人を被験者に用い, 黒い3次元空間に白いドットがランダムに分布している仮想空間内を移動する映像を刺激として用い, 暗室内の70inchの画面に提示して最大15分暴露した. この間の心電図, 呼吸などの生理反応を収集し, これらから得られる指標値と「酔い」の程度の主観評価との関係性を調べた. その結果, 軽度の酔いが発症した場合に, 呼吸周波数と心拍変動の0.1Hz近辺の成分が低下するという特徴的な現象がみられた. これらは, 他のストレス事態における生理反応パターンと異なるものであり, VEによる軽度の「酔い」の評価指標として用いられる可能性が示された.
著者
遠山 裕美 大須賀 美恵子
出版者
日本バイオフィードバック学会
雑誌
バイオフィードバック研究 (ISSN:03861856)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.8-11, 1983

The purpose of this study was to enhance the tolerance against a stressful situation by biofeedback training, using a recently developed BF system, MIBS-I (Mitsubishi Interactive Biofeedback System-I, Ohsuga et al 1981). Out of two male participants of the Skill Olympic, one was trained to decrease and stabilize the heart rate (HR), and the other was trained to increase the amount of Fmθ activities. After the training sessions, a strong uncomfortable tone was presented to examine the control-ability under the stressor. 1. HR The HR subject could decrease the means of HR by using the respiratory activity. The SDs became smaller as the trainig progressed. Under the stres sor, he also showed the learned effect. 2. Fmθ Tne Fmθ is a 6-7 Hz theta rhythm detected from the frontal midline during the performance of some mental tasks, e.g., Uchida-Kraepelin Test. Tne Fmθ subject could increase tne Fmθ-perce ntage of total training time using binary audio-feedback, while doing Uchida-Kraepelin Test. Father investigations on the method of introducing the stressor into the training situations and the method of evaluating the feedback effect are needed.
著者
長田 典子 和氣 早苗 大須賀 美恵子 井口 征士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.113, pp.25-28, 2003-06-06
参考文献数
4

最近のテレビ番組で,ストーリーの山場にコマーシャルを挿入する手法が見受けられるが,集中を削がれるため,とりわけ子供に対する影響が懸念される.そこでコマーシャルの挿入タイミングが子供の集中力に及ぼす影響について検討を行う.呼吸・脈波・瞬目に関する生理心理計測実験を実施したところ,呼吸率と呼吸振幅の変化を4つの集中度パターンに分類できた.また瞬目についても集中度との関連が明らかになった.実験結果から,高まった注意集中が削がれることにより,次の注意集中の高まりが遅れることが観測された.そしてCMを効果的に提示するという観点からも,CMはストーリーの山場より完結後に挿入されるのが望ましいとの見解を得た.
著者
橋本 渉 中泉 文孝 井上 裕美子 大須賀 美恵子
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.117-122, 2009 (Released:2016-04-19)
参考文献数
17
被引用文献数
3

高齢者にとって,身体機能の維持と認知症の進行防止は,要支援・要介護状態にならないよう予防する観点から,重要な課題である.遊びながら楽しく体を動かし,脳に刺激を与える取り組みは,遊びリテーションと呼ばれており,著者らはこのコンセプトに VR技術を導入した取り組みを模索してきた.本稿では, VR技術と高齢者の遊びリテーションについて整理し,著者らの事例を通して,その効果や問題点を明らかにする.
著者
岩谷 智一 中泉 文孝 大須賀 美恵子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.65, pp.45-48, 2012-05-18

高齢者のグループレクリエーションにおいて,多人数で遊びながら無理なく体を動かすための遊びリテーションシステムを開発した.加速度センサと圧力センサを用い,腿上げ運動と手を握る運動を検出し,運動を入力とし,高齢者にもなじみのある大縄跳びや綱引きといったゲームを用意した.3か所の高齢者施設で試用してもらい,受容性を確認した.簡便性を高めるため,加速度センサを無線化する改良を施し,高齢者施設で評価実験を行った.心の活性化を観察による笑顔評価で,身体活動の活性化を腿上げ角度で評価した.ゲーム中は真剣に取り組むため笑顔の表出が少なかったが,勝敗結果の発表のときに笑顔が増えた.腿上げ角度のゲームによる増加は見られなかった.大縄跳びでは腿上げのタイミングをとる必要があり迷いが生じたためと考えられる.継続的な実施による効果検証が今後の課題である.