著者
高橋 節子 海老原 昌絵 貝沼 圭二
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.235-241, 1998-03-15
参考文献数
14
被引用文献数
3

新形質米の米紛および澱粉の性質を知る目的で, バスマテー型香り米のサリークイーン, 低アミロース米の道北43号, 多収米のオオチカラ, 巨大粒米のハバタキ, インディカ系高アミロース米のホシュタカの5種を日本晴と比較した.測定は膨潤力・溶解度, フォトペーストグラフィー, ビスコグラフィー, ゲルのテクスチャーを求め, ゲルの離水率, ハンター白度の測定からは低温貯蔵安定性を検討した.90℃における米澱粉の膨潤力は17〜26を示し, 高アミロースのホシユタカが低く巨大粒のオオチカラは大であり低アミロースの道北43号・日本晴は膨潤しにくい.米澱粉の透光度上昇温度は58〜64℃を示し, ホシユタカは低く日本晴は高く, 添加物の影響では食塩・ショ糖が顕著であった.粘度測定から香り米のサリークイーンは粘度が高く, ホシユタカはコーンスターチに近似に曲線を描き, 米粉は米澱粉に比べて糊化温度が高く粘度は低い.澱粉ゲルはホシユタカ, 香り米のサリークイーンは硬さがあり日本晴は軟らかく低アミロース米の道北43号はこれらの中間であった.ビスコグラフィーで冷却25℃まで撹拌を継続したゲルは, ゲル化が阻害され硬さが低下し付着性が増大した.低アミロース米の道北43号は離水・白度が低く, ホシユタカは老化しやすく不透明なゲルであった.本報告で用いた新形質米各種は幅広い性質を示し、いろいろな調理や加工に利用できることが明らかとなったことから, 今後は北アフリカ料理のクスクス, 団子やういろうなど伝統的な和菓子や蒸し菓子などの調製について検討を行う予定である.