著者
松永 暁子 貝沼 圭二
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.653-659, 1981-10-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
25
被引用文献数
5

1) β-アミラーゼ-プルラナーゼ法により澱粉糊, および米飯の糊化度を測定した.2) 本法では糊化澱粉と生澱粉, 老化澱粉の分解率の差が大きいため, 従来法に比較し, 初期の老化から測定することが可能であった.3) 5%コーンスターチの場合, 低温保存による老化の進行は5%米澱粉に比べ速やかで特に冷凍保存の老化は顕著であった.4) 米飯の老化は保存条件によって異なり, 冷蔵 (5℃) >室温 (20℃) >冷凍 (-18℃) >電子ジャー (70℃) の順で進行した.とくに冷凍米飯の糊化度は長く安定で, 適切な凍結, 解凍方法を用いれば米飯保存として最適と考えられる.
著者
高橋 節子 海老原 昌絵 貝沼 圭二
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.235-241, 1998-03-15
参考文献数
14
被引用文献数
3

新形質米の米紛および澱粉の性質を知る目的で, バスマテー型香り米のサリークイーン, 低アミロース米の道北43号, 多収米のオオチカラ, 巨大粒米のハバタキ, インディカ系高アミロース米のホシュタカの5種を日本晴と比較した.測定は膨潤力・溶解度, フォトペーストグラフィー, ビスコグラフィー, ゲルのテクスチャーを求め, ゲルの離水率, ハンター白度の測定からは低温貯蔵安定性を検討した.90℃における米澱粉の膨潤力は17〜26を示し, 高アミロースのホシユタカが低く巨大粒のオオチカラは大であり低アミロースの道北43号・日本晴は膨潤しにくい.米澱粉の透光度上昇温度は58〜64℃を示し, ホシユタカは低く日本晴は高く, 添加物の影響では食塩・ショ糖が顕著であった.粘度測定から香り米のサリークイーンは粘度が高く, ホシユタカはコーンスターチに近似に曲線を描き, 米粉は米澱粉に比べて糊化温度が高く粘度は低い.澱粉ゲルはホシユタカ, 香り米のサリークイーンは硬さがあり日本晴は軟らかく低アミロース米の道北43号はこれらの中間であった.ビスコグラフィーで冷却25℃まで撹拌を継続したゲルは, ゲル化が阻害され硬さが低下し付着性が増大した.低アミロース米の道北43号は離水・白度が低く, ホシユタカは老化しやすく不透明なゲルであった.本報告で用いた新形質米各種は幅広い性質を示し、いろいろな調理や加工に利用できることが明らかとなったことから, 今後は北アフリカ料理のクスクス, 団子やういろうなど伝統的な和菓子や蒸し菓子などの調製について検討を行う予定である.
著者
濱西 知子 若松 尚美 貝沼 圭二 高橋 節子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.326-332, 2000-08-20
被引用文献数
1

サゴ澱粉の高濃度澱粉ゲルの老化特性を知る目的でサゴおよびとうもろこし、馬鈴薯、タビオカ、加工小麦澱粉を用いてゲルの凍結解凍安定性について比較した。ゲルの調製法は攪拌加熱法について静置加熱と比較し、加工小麦澱粉を添加した結果についても実験を行った。高濃度ゲル食品としてわらび餅を調製し、官能評価を行ない食味評価と物性との関係について検討した。1)調製直後の各種高濃度ゲルの硬さの差は僅少であった。2)高濃度ゲルの調製法としての攪拌加熱法は、静置加熱法に比べて、凍結・解凍を繰返した際の硬さ、離水量の増加が緩慢であり、老化が抑制された。また、加工小麦澱粉ゲルの老化は認められなかった。3)天然澱粉に加工小麦澱粉を20%添加することにより、凍結・解凍サイクルにおける硬さ、離水量の増加が抑えられ、特にサゴ澱粉において老化抑制効果が顕著であった。4)評価法による官能評価から硬さ、弾力性、べたつき、総合評価の項目でサゴ澱粉は嗜好性が高く、次いで馬鈴薯澱粉が好まれた。5)嗜好性の高かったサゴおよび馬鈴薯澱粉を用いて官能評価を行なった結果、サゴ澱粉は攪拌加熱法が馬鈴薯澱粉の場合は静置加熱法がより好まれ、澱粉の種類により攪拌が食味特性に及ぼす影響の異なることが明らかとなった。本研究を行なうにあたり平成7年度財団法人飯島記念食品科学振興財団より研究助成をいただきました。ここに深く感謝の意を表します。
著者
高橋 節子 北原 久子 貝沼 圭二
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.151-159, 1981-06-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
27
被引用文献数
11 7

調理材料として各種の澱粉を使用する立場から緑豆およびサゴ澱粉の性質について,馬鈴薯およびトウモロコシ澱粉を対照として,顕微鏡観察,アミログラフィー,フォトペーストグラフィー,膨潤度・溶解度,アミロース含量,β-アミラーゼによる分解限度,白度,X線回折,澱粉ゲルの物性測定等の実験を行った.その結果,緑豆澱粉の性質から緑豆澱粉を原料とする豆麺の物性に及ぼす要因を考察した. 最後にX線回折を測定していただきました千葉大学渡邊幸雄博士に心より厚くお礼申しあげます.
著者
貝沼 圭二 小田 恒郎 鈴木 繁男
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
澱粉工業学会誌 (ISSN:04169662)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.51-54, 1968-11-20 (Released:2010-06-28)
参考文献数
4
被引用文献数
2 1

光源ランプの光を全域用いて,透光度変化を測定している従来の方法に比較して,フィルターを用い分光した本報の結果は,短波長域を用いることにより,透光度変化をかなり低温から把握することを可能にした。例えば,トウモロコシ澱粉についてみると,アミログラフの立上り温度が70℃ を示したサンプルの場合,本装置を用い,372mμ の波長で測定を行なうと,60℃ 附近から急激に,透光度が減少し,その後増加することを認めた。また同一サンプルを610mμ 或いは970mμ で測定するとこの変曲点は65℃ になっている。 本装置を用いれば,澱粉を加熱した場合におこる変化を,アミログラフィー,その他従来の方法で感知できる温度より更に5~10℃ 低い温度から測定することが可能である。以上を要約すると,(1) フィルターを用いて分光した短波長光線を使用して,従来のいかなる方法でも感知し得なかった低温における澱粉粒の変化を測定した。(2) 微分回路を導入したことにより,フォトペーストグラムの変曲点を明確に知ることを可能にした。(3)加熱中における澱粉粒の部分過熱を防止するため,マントルヒーターによる外部からの加熱方式をとった。