著者
原 昌道 深田 雄一 野崎 英雄 小幡 孝之 野白 喜久雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.569-573, 1976-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
11

アルコール耐性の著しく強い協会7号酵母の変異株 (6-4-C, 26-3-C) と親株 (協会7号) を用いて総米1.2kgと20kgの仕込を行った。1. アルコール無添加で36日間清酒醪を発酵した場合, 変異株醪の酵母はほとんど死滅せず, アルコールが20%以上生成し, 粕歩合も小さかった。他方, 親株の醪は24日預より急激な酵母の死滅がみられ, アルコールの生成は18.6%で停止した。また留後20日目にアルコールが20%になるようにアル添した場合, 親株の醪では酵母は急激に死滅したが, 変異株の醪にはこのような現象はなかった。2. 変異株の発酵末期 (留後20日以降) の成分ならびに製成酒の成分は親株のそれと比較して, formol-Nが小さく, pHが低く, 酸がやや多く, ITT値が大きく, 色が薄く, ピルビン酸含量が多かった。また製成酒の貯蔵着色が小さかった。3. 変異株の酒は親株の酒に比して火落菌の繁殖が悪かった。