著者
深谷 克巳 島 善高 紙屋 敦之 安在 邦夫 堀 新 村田 安穂
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

2001-03年度の研究期間に、伊予宇和島藩・土佐高知藩・阿波徳島藩・讃岐高松藩・讃岐多度津藩・讃岐丸亀藩・備前岡山藩・因幡鳥取藩・長門萩藩の史料調査を行った。調査地は、宇和島市の伊達文化保存会(宇和島藩伊達家文書)、高知の山内家宝物資料館(山内家文書)・安芸市立歴史民俗資料館(高知藩家老五藤家文書)、国立国文学研究資料館史料館所(蜂須賀家文書)・徳島城博物館・徳島県立文書館・徳島県立博物館、香川県歴史博物館(高松藩松平家文書、多度津藩の藩庁文書・大名家文書)、丸亀市立資料館(丸亀藩京極家関係文書)、岡山大学附属図書館・岡山県総務部総務学事課文書館整備推進班・岡山市立中央図書館・岡山県総合文化センター郷土資料室、鳥取県立博物館(鳥取藩政資料)、山口県文書館(毛利家文庫)などである。これらの調査と併行して、各藩に関する活字史料の収集を進めた。いずれも、朝鮮や琉球からの使節来訪や中国船などの漂着の取り扱いなど幕府の外交儀礼や外交問題、日光社参・参勤交代・勅使下向などの通行をめぐる作法、官位をめぐる藩と幕府との関係、幕府法と藩法の関係と裁許の実際、東照宮の祭礼、大名の本・分家関係や相続、藩世界における寺院の役割や宗教権威、在地秩序の内容とその形成、地域における政治思想・政治意識の形成などに関する史料を収集した。以上の収集史料を順次講読し、大名の類型や各藩領域の地理的・風土的差異に留意しつつ、幕府、朝廷、藩、寺社、民衆の相互の関係に重点を置き、その関係にどのような「権威」が存在し、あるいは創られるのかを検討した。その成果の一部を、近世誓詞の機能と意義(深谷克己)、元和二年幕府の対外政策に関する一考察(紙屋敦之)、史料翻刻・佐賀藩「律例」(島善高)、官位昇進運動の基礎的研究(堀新)、翻刻・香川県歴史博物館蔵『南木惣要』(若尾政希・小川和也)、寛永11年日光社参の一考察(泉正人)、大名家における「仮養子」史料(大森映子)、大名の「京都御使」について(久保貴子)、住持退院一件にみる村(斎藤悦正)、近世「大名預」考(佐藤宏之)として研究成果報告書(冊子)にまとめた。