著者
林 亮太 櫨原 弘貴 添田 政司 深見 桜
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.332-348, 2020 (Released:2020-11-20)
参考文献数
45

九州地区における実構造物の実態調査を基に,劣化の顕在化に与える影響要因を明らかにした.次に,室内試験および実構造物から採取したコアを用いて透気係数と各種劣化因子に対する物質移動抵抗性との関係性を明らかにし,透気係数を軸として劣化が顕在化し易いか否かについて評価を行った.その結果,「水掛かりあり」の箇所は鉄筋腐食の進行が早く,腐食ひび割れの発生や錆汁,剥離等の外観変状が早期に顕在化し易いことが分かった.また,同構造物において劣化部と健全部で透気係数を測定したところ,各種拡散係数が同等であっても劣化部の透気係数は,健全部に比べて大きくなっていた.採取コアを用いた透気係数の測定によって,将来的に劣化が顕在化し易いか否かを評価する指標として適用できると考えられた.
著者
佐藤 悠士朗 櫨原 弘貴 添田 政司 深見 桜
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.11-22, 2020 (Released:2020-03-15)
参考文献数
9

コンクリートの品質を向上させる施工方法の一つに振動締固めを行った後,一定時間をおいてから再び振動を与える再振動がある。しかし,再振動の明確な実施時期や実施方法に関する情報は極めて少なく,現場では感覚と経験に基づいた加振が行われているのが現状である。そこで本研究は,再振動の実施時期の指標としてN式貫入深さから求めたコンクリート抵抗値を用い,再振動の実施時期や加振時間の影響について検討を行った。その結果,コンクリート抵抗値が17×10-3N/mm2に到達した時期に再振動を行うのが最も効果的であることが分かった。また,再振動時の加振時間は,5~10秒程度で行うことでコンクリートの品質は向上する結果となった。一方で,再振動の実施時期が遅い場合や加振時間が長くなると,再振動によるコンクリートの品質の改善が期待できなかった。
著者
佐藤悠士朗 櫨原弘貴 添田政司 山田浩嗣
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学年次大会2018(神戸)
巻号頁・発行日
2018-06-20

再振動締固めは,コンクリートの施工において耐久性を向上できる工法の一つである。再振動締固めはできるだけ遅い時間に行なうと良いとされているが,明確な再振動締固めを行う時期の検討は少ない。本研究では,再振動締固めを行うタイミングの指標として, N式貫入深さを用いて,再振動締固め時期の違いがコンクリートの長期品質に及ぼす影響について検討を行った。その結果,再振動時期の遅いN式貫入深さ100mmの際に,再振動を行うことでコンクリートの比抵抗や透気係数の改善が確認された。また,塩分浸透の抑制および鉄筋腐食の抵抗性の向上にも効果的な方法であり,これらの効果は,長期材齢においても確認することができた。