- 著者
-
長谷 一矢
横田 弘
佐藤 靖彦
- 出版者
- 公益社団法人 土木学会
- 雑誌
- 土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
- 巻号頁・発行日
- vol.76, no.4, pp.270-282, 2020 (Released:2020-10-20)
- 参考文献数
- 17
- 被引用文献数
-
1
日本の最北端にある稚内港には,古代ギリシャ建築を彷彿させる北防波堤ドームがある.1936年に竣工したドームは,1981年の全面改修を経て,現在,再び劣化が顕在化してきた.ドームは構造が特殊で点検診断範囲が広大であり,対策の検討においては,部材性能の評価や補修範囲の決定方法が課題となった.そこで,広大な点検診断領域を格子状のエリアに細分化し,変状に基づき設定した5段階の劣化度で格付けした「劣化度マップ」を考案した.劣化度マップの活用により,広域変状の定量的な把握,鉄筋腐食状況の把握,エリア単位の合理的な予防保全のための補修が可能となる.本論文は,北防波堤ドームの維持管理をとおして,多面的な観点から作成する劣化度マップの考え方を整理し,劣化度マップに基づく補修判定の有効性を考察するものである.