著者
清水 いと世 舟場 正幸 松井 徹
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.99-113, 2017-10-10 (Released:2017-12-25)
参考文献数
47

維持期におけるイヌ用レシピを、飼い主へのアンケート調査(n=63)ならびにイヌの手作り食の成書(n=145)から収集した。日本食品標準成分表等を用いて各レシピの栄養素含量を算出し、AAFCO養分基準(2016)の最小値を上回る場合を充足とし、最大値を上回る場合を過剰とした。ほとんどのレシピにおいて、粗タンパク質と必須アミノ酸は充足していた。一方、カルシウム、カルシウムとリンの比、鉄、銅、亜鉛、ヨウ素、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、リボフラビン、ビタミンB12の不足しているレシピは多かった。また、一部のレシピではn-6とn-3系脂肪酸の比、カルシウム、リン、カルシウムとリンの比、ヨウ素、セレン、ビタミンAやビタミンDが過剰であった。AAFCO養分基準を満たすように手作り食を調製するには、上記の不足しやすい栄養素を多く含む食材を用い、過剰となりやすい栄養素を多く含む食材の使用量に注意する必要があることが示された。
著者
清水 いと世 舟場 正幸 松井 徹
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.19, no.Suppl, pp.suppl_32-suppl_33, 2016-06-30 (Released:2017-04-10)
参考文献数
3

アンケート調査により得たイヌの手作り食レシピと成書におけるイヌの手作り食レシピの食材と量より、食品成分表を用いて栄養素量を算出し、AAFCO養分基準(2016)の最小量及び最大量と比較した。8割以上のレシピがCa、Cu 、Zn、ビタミンAの最小量を下回り、一方ヨウ素やビタミンDの最大量を上回るレシピがあった。本試験の結果より、AAFCO養分基準を満たすように手作り食を調製する際には、上記の不足しがちな栄養素を多く含む食材を用い、過剰となりがちな栄養素を多く含む食材の量に配慮する必要があることが示された。
著者
菅野 大 清水 いと世 舟場 正幸 松井 徹 友永 省三
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.22, no.Suppl, pp.suppl_33-suppl_34, 2019-06-30 (Released:2019-07-24)
参考文献数
2

市販されている維持期のネコ用総合栄養食(各10種のドライ製品とウェット製品)および5種の一般食(ウェット製品)におけるタウリンおよびメチオニンの充足・過剰を検証した。充足・過剰の判定はAAFCO養分基準(2016)に基づいて行った。総合栄養食では、すべてのフードにおいてタウリンとメチオニンは充足していたが、1つのウェット製品においてメチオニンが過剰であった。一般食では、タウリン不足のフードが認められ、メチオニンはほとんどのフードで過剰であった。メチオニン含量および表示されている(粗)タンパク質含量は正の相関を示したことから、メチオニンのアンバランスは生じないため、その過剰の問題はない可能性がある。総合栄養食であるドライ製品の一部を一般食に置きかえることを想定しても、タウリンは不足しないことが示唆された。
著者
清水 いと世 舟場 正幸 松井 徹
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.12-21, 2017-04-10 (Released:2017-05-02)
参考文献数
31

イヌや飼い主の都合により市販のフードが使用できない場合は、手作りによる食餌の調製が必要になるが、入手しやすい食材のみで手作り食を調製する場合、AAFCO養分基準(2015)における特に微量栄養素量の最小値を満たすためには、サプリメントの使用が不可避であった。しかしこの度、AAFCO養分基準(2016)が公表され、多くの微量栄養素量の最小値が減少したため、この新基準に即したレシピ設計を試みた。食材の栄養素量は日本食品標準成分表を主に用いた。通常の食材のみではカルシウムの最小値の充足には限界があるので、カルシウム源として期待できる鶏卵殻のミネラル分析を行った。糖質源とタンパク質源からなる食餌を基本食とし、とうもろこし油、豚レバー、煮干し、小麦胚芽、ひじき、鶏卵殻を補助食とした。糖質源とタンパク質源を湿重量で等量用い、基本食と補助食を代謝エネルギーで等量用いることで、AAFCO養分基準(2016)を満たすことができた。