著者
清水 博幸 平栗 健史 木許 雅則 大田 健紘 進藤 卓也
出版者
日本工業大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本研究は,雷撃時の衝撃波によるシイタケ発生のメカニズムの解明と栽培促進技術の向上を目的とし,第1段階「先行研究の再現性確認」と第2段階「衝撃波による効果とメカニズム解明」に分けて検討を進めている.これまでの実験結果から,シイタケ原木へ直接の雷撃印加をせずとも,シイタケ子実体の発生の促進効果がみられることを示している.これを踏まえ,シイタケ子実体の発生促進には,電界や電流ではなく,「音圧」が鍵となるとの仮説を立て,2019年度に,雷撃時に発生する音をサンプリングし,この音を高出力アンプとスピーカで発生させる音波システムの構築を行っている.2020年度は,音圧印加によるシイタケ子実体の増産効果を調査するため,この音波システムを用いた.スピーカと榾木の設置位置を調整し,それぞれ,115dB,110dB,100dB,90dBとなるように配してスピーカから雷撃音を印加し,音圧を印加しないの榾木と音圧印加した榾木(115dB,110dB,100dB,90dB)において,シイタケ子実体の発生量の比較を行った.その結果,実験条件で最も大きな音圧である115dBでは,無印加とほとんど変わらないシイタケ子実体の発生量であったのに対し,90から110dBでは順に発生量が増加する傾向がみられた.このことは,シイタケ子実体の発生に効果を及ぼす音圧レベルには,閾値が存在することを示唆している.2020年度の研究の成果としては,査読付き論文:採択1件,解説記事1件の発表を行っている.