著者
伊藤 盡 松本 涼 杉本 B.Jessica 井口 篤
出版者
信州大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

平成29年度研究成果は以下のとおり:目標1:「世界中の研究者等が利用できる北欧神話受容データベース構築」については、データベース作成用ソフトウェアの購入、データ項目の入力を開始した。9月28日(木)の第1回ミーティングにおいて、役割分担の確認、2018年アイスランドでの国際サガ学会開催に合わせ、アイスランド大学でのシンポジウム開催、データベース内容が決定された。研究活動の方向性を一致させる意義があった。龍谷大学での第2回ミーティング(11月4日(土))では、シンポジウムの打合せ、研究活動計画が決定した。研究内容について詳細に検討され、漫画現物の回覧を行った。データベース化への問題点が明確となり、データベースの閲覧環境の具体的なイメージを固められた点が重要な成果であった。11月5日(日)に京都国際マンガミュージアムにおいて画像撮影と情報収集を行った。これまでになく重要な情報収集ができ、意義深い活動であった。目標2:「資料収集と整理」について、現在収集画像は100を超えている。データベース用データへの置換前のリスト状態にある。これまで省みられなかった学問的資料・情報が蓄積されつつある。目標3:「文献学的、歴史学的、メディア論的、比較文学的分析」については、データ画像収集の際に収集者が記載する註を共有することで、各研究分担者の考察の一助としている。本研究に基づき、2018年3月6日(火)アイスランド大学中世学科の主催で、ハラルドゥル・ベルンハルズソン博士の司会により研究代表者が講義 ‘Japanese Reception of Old Norse Mythology’を行った。質疑応答はその後のレセプションまで続いた。また8月に本研究プロジェクトの報告会が催されることを告知し、興味を持つ大学院生や研究者が詳細を尋ねてきた。本研究の重要性が海外で高く評価されることが証明された。
著者
山室 真澄 鑪迫 典久
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

各国の水産物から揮発性が高く、かつ難水溶性である人工香料の検出報告が相次いでいる。さらには、韓国の漢川河口では奇形魚が頻繁に漁獲されるようになり、原因として人工香料が疑われている(2016年4月10日中央日報日本語版)。本研究では、水溶性ではない人工香料が魚介類に取り込まれるメカニズムとして、世界的にも使用量が増えている柔軟剤に含まれるマイクロカプセルの形で人工香料が取り込まれているとの仮説を立て、その検証を目的とした。柔軟剤のマイクロカプセル中にどのような成分を香料として使用しているかは、ほとんど公表されていない。このため、市販されている柔軟剤10品について人工香料を網羅的に調査した研究を参照し、検出されていた成分の標準試薬を検索した。現在、GC/MSで標準試薬の分析手法の確認を行っている。市販の柔軟剤(K社製、L社製、P社製の3種)およびフレグランススプレー(カプセルある・なし)について、カプセルの生態影響評価を試みた。カプセルの有無による毒性の違いを明らかにするため、柔軟剤を超音波洗浄機処理、超音波抽出機(ホモジナイズ)処理、風乾処理、熱風乾燥処理などを実施し、それぞれ処理前と後のサンプルで生物試験を行った。カプセルの有無は光学顕微鏡下で確認した。生態影響はメダカとミジンコを用いた曝露試験で確認した。メダカ曝露試験はOECDテストガイドライン203に準拠を改変して、より感受性の高いと思われるヒメダカの孵化稚魚を使用した。ミジンコ曝露試験はOECDテストガイドライン203に準拠してオオミジンコを使用した。先述の柔軟剤サンプルについて、様々な方法でカプセルの有無による影響の違いを調べたが、現時点では両者に明確な差は認められなかった。香料成分のメダカに対する毒性が弱いためと考えられる。ミジンコ曝露実験については再現性を得るため、現在、繰り返し試験を行っている。
著者
牟田 和恵 丸山 里美 岡野 八代
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本年度は、第三者からの精子提供によって女性カップルのもとに生まれた子について、インタビュー調査の設計を行うとともに、7ケースの事例調査を実施した。またフランスにおいては、関連法についても調査した。事例調査は、3ケースは日本、3ケースはフランス、1ケースはニュージーランド(調査自体はイギリスで実施)のものである。フランスは2013年に同性婚が法制化され、同性カップルの養子縁組も可能になったが、同性カップルの生殖補助医療の利用は認められておらず、現政権のもとで議論がなされている最中である。ニュージーランドは、調査対象者が子をもうけた時点では同性婚は法制化されていなかったが(2013年に法制化)、生殖補助医療の利用は可能であった。各国の法制度のあり方と、それと関連はするが相対的に独立した当該家族に対する社会の許容度は、情報開示と子のアイデンティティのあり方に強く影響するが、それだけではなく、子の発達段階、家族の居住形態、精子提供者をどのように得たかなどによってもかなり異なっていることが明らかになった。同性婚はもとより、同性カップルの生殖補助医療が認められておらず、当該家族に対する社会の許容度もきわめて低い日本では、同性カップルが子をもうけるということ自体が、金銭的にも社会資源の面でも特権的な階層にしか可能ではない。それにもかかわらず子をもうけたカップルが直面した・している困難と、その際に取った戦略、そして同様の問題が他国においてどのように生じているかに関する事例を収集することによって、当該家族のもとで育つ子の法的権利・福祉のあり方を検討していくための基礎的な整理を行った。
著者
湯川 やよい
出版者
東京女子大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研究は、非触法ぺドファイル(子どもを性的な対象とする小児性愛者のうち、性加害を実行したことがない人々)の実態を、当事者の語りから読み解く仮説生成型の研究である。初年度である今年は、1)文献レビュー、2)日本国内でのサンプリングとインタビュー調査を行った。まず、1)については、文献調査を進める中で当初想定していた社会科学領域(主に社会心理学)だけでなく、表象研究領域の一部理論が経験的データの分析にも応用できる可能性がみえてきた。また、英語圏以外の外国語で書かれた新しい重要資料(臨床報告、当事者レポート)の存在も明らかになり、今後の資料収集計画が具体化された。文献レビューで見えてきた理論的課題の一部についてまとめ、30年度開催の世界社会学会への報告エントリーを行い、査読通過した(30年度7月に発表予定)。次に、2)のインタビュー調査については、5名(新規4名、予備調査から継続の1名)へのアクセスが成功し、それぞれについて複数回のインタビューを行うことができた。一部の成果について暫定的考察をまとめた和文論文を収録した論集(分担執筆)が出版予定である(印刷中)。
著者
阿部 顕三 安達 貴教 花薗 誠 大湾 秀雄
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本年度は、第1に日本酒造組合中央会において、日本酒の税制、日本酒業界の人材、流通、輸出などについて聞き取り調査を行い、今後のモデル構築・分析や実証分析のための有用な情報を収集した。税制に関しては、新酒税法や新組合法と基準販売価格制度との関係を明らかにした。人材に関しては、日本酒造杜氏組合連合会傘下の組合員数の減少とそれに対する対応策を確認した。また、流通に関しては小規模の酒蔵と大規模な酒蔵の清酒の流通の違いについて明らかにした。さらに、輸出面では日本とEUの経済連携協定の発効が日本酒産業の国際的な競争力に与えうる影響について示唆を得た。第2に、グローバル経済における日本酒産業の国際競争力などを分析するための理論モデル構築を進めた。日本酒は、原材料となる米にも多くの種類があり、また生産工程も複雑であることなどから、製品の差別化の程度が非常に高い財であることを考慮に入れ、従来の独占的競争モデルを拡張する形でモデル構築を進めた。中間投入物として差別化された米導入し、それによって最終生産物の日本酒も差別化されるような特徴を導入した。また、複数の生産工程を導入し、使用する生産工程によっても差別化が生じるような可能性も考慮した。さらに、少数の大規模な生産者(酒蔵)と多数の小規模な生産者(酒蔵)が共存し、競争しているような市場も想定し、そのような生産構造や市場構造が日本酒の国際競争力に及ぼす影響を理論的に考察するための基本モデルの構築を行った。
著者
有吉 慶介 脇田 昌英 美山 透 吉田 聡
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

平成29年度の貫通観測に関して,観測準備として,気象センサーの防水防爆対策として既成のプラスチックケースからアルミケースへの差し替え,ソーラーパネルの独立固定方式への変更,表層連続観測用のドラム,UWTVへのCTD取付工具などを購入した.GNSS-Rの観測については,当初の計画には盛り込まれていなかったが,海面高度の精密観測をする上で必要なため,九州大学からの協力を得て実施することにした.これらの観測機器を用いた他,GNSS-Rや表層連続観測装置などを借用手配することにより,地球深部探査船「ちきゅう」が清水港に停泊している期間を狙って,2017年11月30日~12月1日に気象センサー,海水の表層・鉛直のCTD装置,GNSS-Rの設置,2018年1月10日~12日に鉛直CTDと表層連続観測の電池交換を兼ねた動作確認,2018年2月27日に観測機器の撤収を行った.回収データを解析した結果,どのセンサーも,動作環境などで問題があったものの,きちんと設定すれば同時連続観測が出来ることを確認した.これらの成果は, Ocean Sciences Meeting, Blue Earth Science Technology 等で発表した他,マサチューセッツ工科大学(MIT),カーネギー研究所,ハーバード大学,アメリカ海洋大気庁 (NOAA) などでもセミナーとして発表した.また,来年度に開催する国際学会(JpGU, AOGS) でもセッションを提案し,採択された.さらに,上記の学会の場を通じて,貫通観測に関して,国際学術誌での特集号も組まれることとなるなど,国内外での反響も得られた.
著者
中村 太一 土肥 拓生
出版者
国立情報学研究所
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本研究は,アジャイル開発のチームメンバ,プロダクトオーナーおよびファシリテーター に求められるマネジメントスキルを修得するため,開発プロセスにおいて実行されるプラクティスを疑似体験するロールプレイ演習システムを開発する.具体的には、(1) アジャイル開発プロセスで生み出す価値の量をシミュレーションにより算出するため,システムダイナミックスモデルと待ち行列ネットワークモデルを組み合わせたアジャイル開発プロセスモデルを構築し,(2) アジャイル開発で生み出される価値の量を定量的に算出するために、アジャイル開発プロセスにてより多くの価値を生み出すために実行されるプラクティスと開発プロセスの生産性を低下させる要因の関係を定式化し,(3) 正統的周辺参加の学習論に基づき,開発業務という文脈の中で学習者がアジャイル開発のマネジメント知識の定着を図るロールプレイ演習シナリオを開発する.2107年10月,PMI(Project Management Institute)からPMBOK; Guide Sixth Edition とAgile Practice Guideが刊行され,顧客の要求が確定している下で費用とリリース時期を遵守するマネジメントと顧客が求める価値を繰り返し提供し続けるアジャイル開発のマネジメントの関係が記述されているが、二つのマネジメントの使い分けについて確定した知見はない.このような状況に鑑み、本研究の成果を実装したロールプレイ演習で、学習者個々人が開発実務においてアジャイル開発と伝統的な開発のマネジメントを使い分ける能力を涵養できる学習環境を提供する意義は大きい.
著者
福原 長寿
出版者
静岡大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本研究では、産業プロセス排出のCO2を、CO2の分離操作なしに空気成分と混在したまま、25℃程度の常温域で高効率・高選択的に、かつ大量にCH4に変換する触媒反応場を創製する。そして、この反応場の触媒機構を解明し、CO2資源化技術の新学理を開拓する。研究のポイントは、構造体触媒反応場によってCO2を常温域で効率的なメタン変換を大量規模で行なうことである。通常の報告例では300℃程度で実施されるCO2のメタン化反応を、常温域で実施することは世界で未だ報告例はないことから、本研究で開拓する技術によって世界に先駆けたCO2の資源化ルートを開拓する。
著者
稲永 由紀 吉本 圭一 猪股 歳之
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本研究では、高等教育機関の地域配置および高等教育の地域社会的効用について、高等教育あるいは高等教育機関の地理的影響範囲(高等教育「後背地」)の理論モデル確立を目指すべく、既存指標の収集、いくつかの地域での関係者へヒアリング等によって、影響評価の候補となる主観的/客観的指標を収集し、検討する。これは、研究者の研究・勤務経歴の偏り(特に都市/国立/研究大学)に起因するであろう高等教育領域の研究知の偏在を問い直す、オルタナティブな高等教育研究領域を切り開く企てでもある。
著者
河合 孝尚
出版者
長崎大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研究は科学者の不正リスク(動機・機会・正当化)要因の発生メカニズムを解明し、不正行為に対する抑止力を向上させることで不正行為を未然に防止することが出来るのではないかと着想し、そのための新たな倫理教育プログラムの開発を行うことを目的としている。平成29年度では、過去に行われた不正行為に関する事例や関係法令等を分析することで、不正行為に及んだ原因や問題点等を明らかにし、科学者の不正リスク要因を特定するための過去の不正行為に関する事例分析を主に行った。国内での研究不正行為に関する事例報告は情報が乏しく件数が少ないので、本研究では主に海外の研究不正行為事例を調査した。調査したのはアメリカ国立科学財団(NSF)の調査報告書2754件、アメリカ研究公正局(ORI)報告書102件、web上の研究不正事例に関する情報65件であるが、本研究で扱うデータとしてはデータの信頼性を考慮してORIの研究不正行為に関する報告書の情報102件を分析対象とすることとした。本研究ではORIの研究不正行為に関する報告102件を対象に変量解析を行った。ORI報告書から読み取れた項目として性別(女35件、男63件、欠測4件)、職種(教授7件、准教授24件、研究員22件、ポスドク20件、大学院生16件、その他9件、不明4件)、不正行為の種類(改ざん11件、ねつ造39件、盗用94件、重複あり)、所属施設(大学49件、病院14件、研究センター7件、企業1件、不明1件)について二変量解析を行い、それぞれの項目間の関連を検討した結果、特に項目間に関連は認められなかった。つまり研究不正行為は職種や性別等に関係せず誰でも起こす可能性があり、外的な要因ではなく心理的要因等の内的要因が大きく影響していると考えられることがわかった。
著者
須川 亜紀子 清水 知子 田中 東子 岩下 朋世 川村 覚文
出版者
横浜国立大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

平成29年度の研究実績は以下の通りである。1)2.5次元文化に関するアンケート調査をウェブアンケートの形で、日、英、中、韓国語の4ヶ国語で立ち上げた。年度末時点での回収数は、各約100~300件で概ね順調である。平成30年度も引き続き回答数を伸ばすよう国内外で宣伝を行う。2)各メンバーそれぞれ、舞台、イベントなどにおけるファン活動、ファンへのインタビュー調査などを行った。須川・・ファン調査(東京、九州、中国、シンガポール)、田中・・ファンインタビュー(東京)、岩下・・イベント調査(仙台、東京)、清水・・理論研究とファン調査(シンガポール)、川村・・イベント調査(名古屋、シドニー)、理論研究、ファン調査(シンガポール)を行った。3)須川が、「2.5次元文化を考えるシンポジウム」を3名の外部講師を招聘して開催し、コンテンツツーリズム(アニメ聖地巡礼)とAR技術、ファンのイマジネーションについての議論を深めた。各メンバーも参加し、知見を深めた。4)2.5次元文化作品の制作者へのインタビュー調査を行った。須川・・人吉温泉観光協会、アニメ世界名作劇場プロデューサー、アニメ名作劇場に関する書籍の著者など。5)国内外の研究者を外部講師として招聘し、研究会を行った。(平成29年10月シノハラユウキ氏(ポピュラー文化・哲学評論)、平成30年1月国立シンガポール社会科学大学講師ジョエル・グン氏(メディア論、日本文化学))。
著者
栗田 敬 市原 美恵 熊谷 一郎 久利 美和
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

・実験課題の整備:従来の課題の整備以外に、Dancing Raisin、Rootless Eruption実験、火炎実験、降伏応力流体の落球実験、ペットボトル噴火実験などの新しい実験課題を整備した.その幾つかは授業、研究会、一般公開の場で利用された.また実験内容は地球惑星科学連合大会、European Geosciecne Union年会、日本火山学会などで発表されるとともに、Web上に公開されている(http://kitchenearth.sblo.jp/ ).小冊子「キッチン地球科学 レシピー集」を作成し、配布するとともに上記Web上に公開した.・キッチン地球科学研究集会の開催:2019年9月1日、2日に東京大学地震研究所にて40名余の参加者を得て開催された.・大学、高校における実験講義の試行:東京大学教養課程・惑星地球科学実習、明星大学理工学部・プロジェクト研究実験「身の回りのものを使った考える流体実験」、都立八王子東高校・化学部特別実験、聖星高校・科学部実験講義などの機会を利用して学生の実験を指導した.実験の題材は味噌汁対流実験、綿飴実験、ベッコウ飴クラック、ペットボトル噴火実験などである.学生の興味を引き出す手法として不確定要素を含む実験課題が有効であることを確認出来た.・キッチン地球科学の広報活動:はまぎん子供宇宙館、東京大学地震研究所一般公開、次世代火山研究者育成プログラム、地球惑星科学連合大会における「キッチン地球科学」セッション、ホイスコーレ札幌生涯学習セミナーなどの場を借りて教育における実験の役割、その具体的な利用法の宣伝活動を行った.
著者
山中 康裕
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

近年、科学と研究者の理想が無いままに、被引用数やインパクトファクターを安易に評価 指標とした歪みとして、組織や研究者の業績評価における論文崇拝主義や、直接的な課題解決を得意とする学問分野への偏重を招いている。本研究では、研究者コミュニティーが、自ら研究活動を評価し、それに基づく社会への説明責任を果たす文化を創造することを目指す。社会の中の科学の縮図として、地球科学分野を取り上げる。研究活動の把握(IR)として、国内各研究者への情報収集、聞き取りやアンケートにより「知の創造」に対する価値基準の国際比較を行う。チューニングの概念にもとづき、社会と研究者コミュニティーが納得する評価指標を提案する。
著者
武部 貴則
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

われわれは、マウス細胞とヒト細胞とを特定条件下で培養を行うことにより、マウスmRNAがヒト細胞に受け渡されていることを見出した。本研究では、われわれが世界で初めて発見した異なる細胞種間の直接接触を介したmRNAの伝搬機構の解明を通じて、細胞の運命を転換するための全く新たな細胞操作技術を構築する。今後、遺伝子編集を伴わない安全かつ安定な細胞を創出できるばかりか、未解明な細胞間相互作用に関わるさまざまな生命現象、例えば、正常幹細胞とニッチ間相互作用、ガンと間質間の相互作用など 、近年着目されている多細胞間相互作用に関する研究を全く新たな視点から切り込むための基盤原理へと昇華する可能性がある。
著者
近藤 滋
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

イセエビの幼生は、1回の脱皮で、2次元平面から3次元形状に変態する。脱皮前後のクチクラの構造を電顕で詳しく解析することにより、クチクラの各地点での収縮率、収縮の異方性を測定し、それを幼生の平面上クチクラ形状にマップする。次にその平面情報から、収縮後の立体構造を、計算機により3次元物理計算から導き出す。成功すれば、平面の構造から、任意の3次元構造を瞬時に作り出す新しい技術が生まれる可能性がある。
著者
小川 佳宏
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

申請者らは既に、肥満マウスにSodium-glucose cotransporter 2(SGLT2)阻害薬を投与することにより、代償性の摂餌量増加により体重は減少しないが、脂肪細胞の肥大化を伴う精巣周囲脂肪組織重量の増加とともに肝重量の低下と脂肪肝の改善が認められることを報告し、脂肪細胞のエネルギー貯蔵力の増加が肝臓における異所性脂肪蓄積を抑制に関連する可能性を提案した。本研究では、ヒトの病態を再現する非アルコール性脂肪肝炎(NASH)マウスにSGLT2阻害薬カナグリフロジンを投与すると代償性に摂餌量が増加し、むしろ体重増加の傾向が認められるが、血糖値は低下してインスリン抵抗性は改善すること、精巣周囲脂肪組織重量の増加と脂肪細胞の肥大化が認められるが、炎症所見の増悪はなく、肝臓では新規脂肪合成酵素あるいは炎症関連遺伝子や線維化関連遺伝子の発現の減少とともに肝臓の炎症所見と線維化が抑制されることを見出した。このNASHマウスでは長期間の飼育によりほぼ全例が肝細胞癌を発症するが、1年間のSGLT2阻害薬投与により肝腫瘍数の減少と腫瘍の最大径は低下傾向が認められた。以上により、脂肪組織のHealthy Expansionに伴って肝臓異所性脂肪蓄積が抑制され、脂肪肝と炎症所見・線維化に伴うNASH肝癌の発症の遅延することが示唆された。又、SGLT2阻害薬を投与したNASHマウスより得られる精巣周囲脂肪組織では、還元型グルタチオン(GSH)の増加と酸化型グルタチオン(GSSG)の減少が認められ、脂肪組織のHealthy Expansionには脂肪組織における還元力の増加が関連する可能性が示唆された(Sci. Rep. 8: e2362, 2018)。
著者
丸山 敦 入口 敦志 神松 幸弘
出版者
龍谷大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

ユネスコ無形文化遺産「和食」の起源である江戸から明治初期における日本人の食生活を、書籍に漉き込まれた毛髪の安定同位体分析によって詳らかにする。申請者らが発表したばかりの新規的アプローチを洗練し、地方の出版物に対象を拡張することでより多くの地域の比較を、書籍の選定や素材の化学分析によってより細かな時間スケールで、当時の食物の同位体比を把握することでより定量的に行うことに挑戦する。