著者
山室 真澄 鑪迫 典久
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

市販の柔軟剤4製品を最適化した方法で分析した。各社ともほぼ同じ香料を組み合わせて使用していた。同じ方法で千葉県の人工河川の河川水を使って分析したところ、標準試薬にある12成分のうち10成分の人工香料が検出された。このことから、最適化した方法で環境水中の香料成分を検出できることが分かった。環境水にマイクロカプセルの形で拡散している場合、環境水を濾過して懸濁物を接触する二枚貝がマイクロカプセルを取り込んでいる可能性がある。そこで西日本の汽水湖沼および首都圏の感潮河川で漁獲されたヤマトシジミを提供いただき分析したところ、柔軟剤から検出された香り成分と似た組み合わせで人工香料が検出された。
著者
曽根 洋明 フェラン ティモシー・ジョン
出版者
宮城大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2021-07-09

日本人は英語の「冠詞」に関して,世界でも類を見ないくらい低い運用能力をもつ。「冠詞」(特に定冠詞)の誤用によって精緻な情報発信ができない日本人研究者も目立つ。言葉は使いやすい方向に進化する。冠詞のなかったフィンランド語では「定冠詞」が生まれつつある。本研究では,「定冠詞」が生まれつつあるフィンランドで人々がなぜそれを使うようになってきたか,どうやって定冠詞の感覚を習得したか等を定性調査する。定冠詞感覚は言語により多少のズレがあるかもしれない。しかし,定冠詞感覚を得た先人として彼らの例を大いに参考にし,これらの知見から英語の「定冠詞」を直感的に使えるようになるトレーニング法を開発していく。
著者
秋光 純 堀金 和正
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2022-06-30

「室温超伝導の実現」は、人類の夢の一つである。確かに、「物理学の夢」の10本の指の中に挙げられていることは間違いない。最近、申請者は「室温伝導体(Tc~350K)」と思われる物質Ti-B-Cを発見した。しかし、その超伝導体積分率は1%以下であり、その成分を取り出し、それを単相化し、結晶構造を決定する必要がある。それが本申請の目的である。本物質が実現出来れば、現在のエネルギー問題の解決に向けての第一歩になることは間違いない。
著者
伊藤 盡 松本 涼 杉本 B.Jessica 井口 篤
出版者
信州大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

平成29年度研究成果は以下のとおり:目標1:「世界中の研究者等が利用できる北欧神話受容データベース構築」については、データベース作成用ソフトウェアの購入、データ項目の入力を開始した。9月28日(木)の第1回ミーティングにおいて、役割分担の確認、2018年アイスランドでの国際サガ学会開催に合わせ、アイスランド大学でのシンポジウム開催、データベース内容が決定された。研究活動の方向性を一致させる意義があった。龍谷大学での第2回ミーティング(11月4日(土))では、シンポジウムの打合せ、研究活動計画が決定した。研究内容について詳細に検討され、漫画現物の回覧を行った。データベース化への問題点が明確となり、データベースの閲覧環境の具体的なイメージを固められた点が重要な成果であった。11月5日(日)に京都国際マンガミュージアムにおいて画像撮影と情報収集を行った。これまでになく重要な情報収集ができ、意義深い活動であった。目標2:「資料収集と整理」について、現在収集画像は100を超えている。データベース用データへの置換前のリスト状態にある。これまで省みられなかった学問的資料・情報が蓄積されつつある。目標3:「文献学的、歴史学的、メディア論的、比較文学的分析」については、データ画像収集の際に収集者が記載する註を共有することで、各研究分担者の考察の一助としている。本研究に基づき、2018年3月6日(火)アイスランド大学中世学科の主催で、ハラルドゥル・ベルンハルズソン博士の司会により研究代表者が講義 ‘Japanese Reception of Old Norse Mythology’を行った。質疑応答はその後のレセプションまで続いた。また8月に本研究プロジェクトの報告会が催されることを告知し、興味を持つ大学院生や研究者が詳細を尋ねてきた。本研究の重要性が海外で高く評価されることが証明された。
著者
牟田 和恵 丸山 里美 岡野 八代
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本年度は、第三者からの精子提供によって女性カップルのもとに生まれた子について、インタビュー調査の設計を行うとともに、7ケースの事例調査を実施した。またフランスにおいては、関連法についても調査した。事例調査は、3ケースは日本、3ケースはフランス、1ケースはニュージーランド(調査自体はイギリスで実施)のものである。フランスは2013年に同性婚が法制化され、同性カップルの養子縁組も可能になったが、同性カップルの生殖補助医療の利用は認められておらず、現政権のもとで議論がなされている最中である。ニュージーランドは、調査対象者が子をもうけた時点では同性婚は法制化されていなかったが(2013年に法制化)、生殖補助医療の利用は可能であった。各国の法制度のあり方と、それと関連はするが相対的に独立した当該家族に対する社会の許容度は、情報開示と子のアイデンティティのあり方に強く影響するが、それだけではなく、子の発達段階、家族の居住形態、精子提供者をどのように得たかなどによってもかなり異なっていることが明らかになった。同性婚はもとより、同性カップルの生殖補助医療が認められておらず、当該家族に対する社会の許容度もきわめて低い日本では、同性カップルが子をもうけるということ自体が、金銭的にも社会資源の面でも特権的な階層にしか可能ではない。それにもかかわらず子をもうけたカップルが直面した・している困難と、その際に取った戦略、そして同様の問題が他国においてどのように生じているかに関する事例を収集することによって、当該家族のもとで育つ子の法的権利・福祉のあり方を検討していくための基礎的な整理を行った。
著者
湯川 やよい
出版者
東京女子大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研究は、非触法ぺドファイル(子どもを性的な対象とする小児性愛者のうち、性加害を実行したことがない人々)の実態を、当事者の語りから読み解く仮説生成型の研究である。2年目にあたる2018年度は、特に(1)前年度の国内調査についての海外発表(中間報告)、(2)海外調査、(3)関連領域における調査法関連での文献調査とまとめ、(4)国内での継続調査を行った。まず、(1)については、国際社会学会(7月、トロント)において報告を行った。日本国内の非触法ぺドファイルの自己形成が、北米中心に発信される診断文化の文脈とセクシュアリティのポリティクスの交差のなかで独自の位置取りを占めることを報告し、当該テーマにおいて先駆的な実践が報告される西欧非英語圏で活動する関連研究者と議論できたことは、貴重な成果と言える。また、ナラティブ分析の方法という観点から英語圏言説の分析を行った論文を共著『自己語りの社会学』に収録した(8月に出版)。(2)については、米国フィラデルフィアおよび米国シアトルにおいて、関連研究者とのディスカッションおよびフィールド調査を行った。現地の運動当事者との面会は実現しなかったものの、関係者への間接的な調査は行うことができた。(3)については、周辺関連領域における性的マイノリティ一般の調査技法にかんする論稿をまとめ、発表した(和文、2019年3月)。また、(4)国内調査についても継続インフォーマントへの聞き取りを行っている。
著者
阿部 顕三 安達 貴教 花薗 誠 大湾 秀雄
出版者
中央大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本研究では、日本酒の経済分析(サケノミクス)に関する萌芽的研究を行った。調査研究では、聞き取り調査によって、日本酒の生産者の効率化や輸出と差別化の関連に関する示唆を得た。実証研究では、小売データを用いて、季節的な消費行動の変化や他のアルコール飲料との代替性などについて示唆を得た。また、理論分析おいては、大企業と小企業が共存する経済モデルを応用し、日本酒に対する需要変化の影響を明らかにした。
著者
真貝 寿明 鳥居 隆 塚本 達也 米田 達郎 松浦 清 横山 恵理
出版者
大阪工業大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

天文現象は人類の誕生以来,生活に密接に結びついた知識として実用的な学問を成立させ,生活を精神的に支える宗教を創出し,生活に潤いを与える多くの芸術を生みだしてきた.これらを,文系理系の異なる専門をもつ研究者同士が既存の枠組みを超えて交流することによって,天文と人間の関わりを複眼的に,また真に総合的に理解する可能性を広げたい.そして,「天文文化」をキーワードにして,学問や文化活動の根源的な動機を広く一般社会へも伝えていく.
著者
加藤 隆宏
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

本研究では、ヒンディー語、サンスクリット語、ネパール語などの諸語に用いられるインド系文字の一つ、デーヴァナーガリー文字を読み取るための光学文字認識(OCR)ソフトウェアを開発し、その技術を用いて読み取った文献群のデータベースを構築する。研究の第一段階では、これまでなかった高精度のOCRの共同開発を試み、第二段階では開発された文字認識ソフトウェアを利用して、世界各国で先行する同様のプロジェクトを凌駕しうるような規模の電子テキスト・データベース構築に向けて準備を整えたい。
著者
渡辺 千香子 本郷 一美
出版者
大阪学院大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2021-07-09

従来、古代西アジアのライオンは「インドライオン」と考えられてきた。しかし新アッシリア時代のライオン狩り浮彫には、異なる2種類のライオンが描き分けられ、ライオンの身体的特徴と連動して身体のサイズが異なることから、両者の違いは個体差ではなく、異なる亜種か品種であった可能性が浮上する。古代の文献には「平原生まれ」と「山生まれ」のライオンが登場し、ライオンを意味するシュメール語とアッカド語には2種類ずつの語彙がある。ここからこの地域のライオンが必ずしも単一種ではなく、未知のライオンが生息していた可能性が浮上する。本研究は古代西アジアのライオンの実態を、図像・文献・動物考古学の学際的視角から探究する。
著者
福原 長寿
出版者
静岡大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本研究では、産業プロセス排出のCO2を、CO2の分離操作なしに空気成分と混在したまま、25℃程度の常温域で高効率・高選択的に、かつ大量にCH4に変換する触媒反応場を創製する。そして、この反応場の触媒機構を解明し、CO2資源化技術の新学理を開拓する。研究のポイントは、構造体触媒反応場によってCO2を常温域で効率的なメタン変換を大量規模で行なうことである。通常の報告例では300℃程度で実施されるCO2のメタン化反応を、常温域で実施することは世界で未だ報告例はないことから、本研究で開拓する技術によって世界に先駆けたCO2の資源化ルートを開拓する。
著者
新江 利彦
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

デジタル化したベトナムのチャンパー王家文書の解読と、中国海南島、ベトナム、カンボジア、マレーシア、インドネシアにおけるイスラーム・儒教融合・祭祀分業に関する調査・研究により、早期東南アジア(15~17世紀)のイスラーム実践と、東南アジアにおけるイスラーム祭祀・祖先祭祀分業、中国思想やヒンドゥー思想、暦・絵画・音楽・舞台などの中に盛り込まれたイスラーム的価値観、イスラーム伝播と理解における回儒(ムスリム儒教知識人)の役割とその内容を、近世日本における神道・儒教融合(神儒)とも比較しながら明らかにする。また、中国・東南アジアの土着イスラーム研究者と情報を共有して、ネットワークを強化する。
著者
末永 幸平 塚田 武志 関山 太朗
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

数学における証明のを計算機を用いて一部自動化することを目指します.本申請課題は,この最終目標に対する探索研究として,自然数に関する命題の証明の一部自動化を目指します.本申請課題では,証明が二者ゲームとして定式化でき,したがってゲーム AI の学習手法を証明ゲームに適用することで有能な自動証明アルゴリズムを錬成できるのではないか,というアイデアに基づいて研究を進めます.自動証明は様々なシステムが意図通りに動作することを保証するための要素技術として用いられており,その点で将来的に産業的なインパクト・貢献の可能性が期待できると考えています.
著者
須川 亜紀子 清水 知子 田中 東子 岩下 朋世 川村 覚文
出版者
横浜国立大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

平成29年度の研究実績は以下の通りである。1)2.5次元文化に関するアンケート調査をウェブアンケートの形で、日、英、中、韓国語の4ヶ国語で立ち上げた。年度末時点での回収数は、各約100~300件で概ね順調である。平成30年度も引き続き回答数を伸ばすよう国内外で宣伝を行う。2)各メンバーそれぞれ、舞台、イベントなどにおけるファン活動、ファンへのインタビュー調査などを行った。須川・・ファン調査(東京、九州、中国、シンガポール)、田中・・ファンインタビュー(東京)、岩下・・イベント調査(仙台、東京)、清水・・理論研究とファン調査(シンガポール)、川村・・イベント調査(名古屋、シドニー)、理論研究、ファン調査(シンガポール)を行った。3)須川が、「2.5次元文化を考えるシンポジウム」を3名の外部講師を招聘して開催し、コンテンツツーリズム(アニメ聖地巡礼)とAR技術、ファンのイマジネーションについての議論を深めた。各メンバーも参加し、知見を深めた。4)2.5次元文化作品の制作者へのインタビュー調査を行った。須川・・人吉温泉観光協会、アニメ世界名作劇場プロデューサー、アニメ名作劇場に関する書籍の著者など。5)国内外の研究者を外部講師として招聘し、研究会を行った。(平成29年10月シノハラユウキ氏(ポピュラー文化・哲学評論)、平成30年1月国立シンガポール社会科学大学講師ジョエル・グン氏(メディア論、日本文化学))。
著者
福田 敏男 市川 明彦
出版者
名城大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本研究では、線虫が有する化学走性によるがん検出能力を用い、マイクロ流体チップ内にて高速、高精度でのがん検出を行うことを目的として研究を行った。その結果、マイクロ流体チップ内での化学物質の拡散速度を抑制し、100匹以上の線虫を一つのマイクロ流体チップ内に導入してがん検出検査を実施可能なマイクロ流体チップを設計、作製した。作製したマイクロ流体チップについては、チップ内に導入しがん検出を行う線虫の移動速度を向上させるために、波型の流路形状を採用し設計した。さらに、線虫が複数回がん検出の判定を行うことができるよう、流路分岐形状を設計した。これにより、実際のがん患者の尿サンプルを用いた実験を実現した。
著者
有吉 慶介 脇田 昌英 美山 透 吉田 聡
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

平成29年度の貫通観測に関して,観測準備として,気象センサーの防水防爆対策として既成のプラスチックケースからアルミケースへの差し替え,ソーラーパネルの独立固定方式への変更,表層連続観測用のドラム,UWTVへのCTD取付工具などを購入した.GNSS-Rの観測については,当初の計画には盛り込まれていなかったが,海面高度の精密観測をする上で必要なため,九州大学からの協力を得て実施することにした.これらの観測機器を用いた他,GNSS-Rや表層連続観測装置などを借用手配することにより,地球深部探査船「ちきゅう」が清水港に停泊している期間を狙って,2017年11月30日~12月1日に気象センサー,海水の表層・鉛直のCTD装置,GNSS-Rの設置,2018年1月10日~12日に鉛直CTDと表層連続観測の電池交換を兼ねた動作確認,2018年2月27日に観測機器の撤収を行った.回収データを解析した結果,どのセンサーも,動作環境などで問題があったものの,きちんと設定すれば同時連続観測が出来ることを確認した.これらの成果は, Ocean Sciences Meeting, Blue Earth Science Technology 等で発表した他,マサチューセッツ工科大学(MIT),カーネギー研究所,ハーバード大学,アメリカ海洋大気庁 (NOAA) などでもセミナーとして発表した.また,来年度に開催する国際学会(JpGU, AOGS) でもセッションを提案し,採択された.さらに,上記の学会の場を通じて,貫通観測に関して,国際学術誌での特集号も組まれることとなるなど,国内外での反響も得られた.