著者
清水 奨太 大谷 真 平原 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.165, pp.85-90, 2007-07-19

非可聴つぶやき声(Non-Audible Murmur : NAM)の音響的特徴とソフトシリコーン型NAMマイクロフォンの特性を明らかにした。NAMは「微弱な呼気による乱流雑音の声道共鳴音の肉導音」であり,特別に設計されたNAMマイクロフォンを体表に装着させることで検出できる。NAMマイクロフォンはほぼ個体差が無く, NAMマイクロフォンの周波数特性は約-17dB/oct.で高域減衰していた。NAMマイクロフォンの感度は-36dB(1V/1 Pa=0dB@1kHz)であった。NAMマイクロフォンを用いて収録された男性話者26名・女性話者17名(約630分)のNAM信号の音響分析を行なった。このNAM信号のSNRは約16dBであり,帯域は約3kHzであった。NAM信号の長時間スペクトルは500〜800Hzにピークがあり,約-17dB/oct.で高域減衰していた。このNAM信号の長時間スペクトルからNAMマイクロフォン特性を補正して求めたNAM本来の長時間スペクトルは、200Hz〜300Hzにピークがあり、約-23dB/oct.で高域減衰していた。この結果は、声帯共鳴音が生体軟組織を伝搬する際の減衰特性の数値シミュレーションの結果とほぼ一致する。