著者
平原 達也 大谷 真 戸嶋 巌樹
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.4_68-4_85, 2009-04-01 (Released:2011-05-01)
参考文献数
109
被引用文献数
3 2

音源信号に頭部伝達関数が畳みこまれたバイノーラル信号によって立体音像空間を再現する場合に,頭部伝達関数やバイノーラル信号再生系の音響的な厳密さが重要視されている.しかし,受聴者の頭部運動に追従する動的バイノーラル信号を用いると,頭部伝達関数やバイノーラル信号再生系に要求される音響的厳密性を緩和できる.本解説では,複数箇所で多数回計測した実頭とダミーヘッドの頭部伝達関数を精査し,頭部伝達関数の音響計測の問題点,頭部形状の変形に伴う頭部伝達関数の変化,および,頭部伝達関数の比較尺度について論じる.また,様々なバイノーラル信号を用いた一連の音像定位実験の結果に基づいて,静的バイノーラル信号と動的バイノーラル信号が再現する立体音像空間の差異についても論じる.これらを通じて,頭部伝達関数の計測とバイノーラル信号の再生にかかわる諸問題について論考する.
著者
平原 達也
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.798-806, 1997-10-01
被引用文献数
23

聴覚実験に用いられるヘッドホンの幾かの物理特性を明らかにすることを目的として, 5種類のヘッドホンTDH 39, DT 48, HD 250 Linear II, HDA 200, SR-A Pro.のカップラレスポンス, 実耳レスポンス, 高調波歪特性, インパルス応答特性, 位相・群遅延特性, 外部幅射特性, 音響遮蔽特性, 音響クロストーク特性を測定し, 比較した結果について述べる。
著者
平原 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.95, no.207, pp.17-24, 1995-08-21
被引用文献数
2

聴覚実験に用いる最適なヘッドホンを特定するために、5種類のヘッドホン(TDH39, DT48, HD250 Linear II, HDA200, SR-Λ Pro.)の周波数特性、位相特性、高調波歪み特性、クロストーク特性等を物理的に測定した。その結果、HDA200とSR-ΛPro.が実耳装着時でも比較的平坦な周波数特性を持ちカップラ応答との差が少ないこと、位相特性や歪特性はどのヘッドホンでも問題ないこと、SR-ΛPro.の音響的なクロストーク特性は他のものより劣ることが分かった。また、ヘッドホンの実耳装着時の周波数特性に差異があると、F1だけを変化させた合成母音系列の音韻性判断において、周波数特性の差に応じてF1境界周波数がずれて推定されるが、ヘッドホンの周波数特性を逆フィルタで補正すればそのずれを解消できることが分かった。
著者
戸嶋 巌樹 青木 茂明 平原 達也
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.244-254, 2006-03-01
被引用文献数
15

頭部形状を再現したダミーヘッドを静粛かつ滑らかに頭部運動に追従動作する音響テレプレゼンスロボット,テレヘッド弐号機を構築した。ダミーヘッドと実頭との形状の差は最大5.7%で,頭部伝達関数(HRTF)の振幅スペクトル差は4.6dBであった。テレヘッドは頭部運動に120msの遅れで安定して追従した。頭部運動追従時のライン混入雑音レベルは1〜4kHzの帯域で24dB SPL以下となった。音像定位実験の結果,使用者の頭部運動を再現すれば,他人のダミーヘッドを用いても,水平面音像定位精度が向上することを確認した。しかし,正中面音像定位においては,頭部運動を再現する効果は必ずしも認められなかった。
著者
伊勢 史郎 平原 達也 上野 佳奈子 大谷 真
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

境界要素法によって計算されたHRTF を用いて、頭部運動に対応可能な動的聴覚ディスプレイ(VAD)による定位実験、仮想空間内で動きながら会話が可能な仮想聴空間システムによる評価実験を行った。さらにダミーヘッドが頭部運動に追従するテレヘッドシステムを開発し、音像定位実験を行った。その結果、人間の適応能力を考慮した場合には必ずしも個人のHRTF を利用する必要がなく、HRTF に要求される精度を低減可能であることを示した。
著者
清水 奨太 大谷 真 平原 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.165, pp.85-90, 2007-07-19

非可聴つぶやき声(Non-Audible Murmur : NAM)の音響的特徴とソフトシリコーン型NAMマイクロフォンの特性を明らかにした。NAMは「微弱な呼気による乱流雑音の声道共鳴音の肉導音」であり,特別に設計されたNAMマイクロフォンを体表に装着させることで検出できる。NAMマイクロフォンはほぼ個体差が無く, NAMマイクロフォンの周波数特性は約-17dB/oct.で高域減衰していた。NAMマイクロフォンの感度は-36dB(1V/1 Pa=0dB@1kHz)であった。NAMマイクロフォンを用いて収録された男性話者26名・女性話者17名(約630分)のNAM信号の音響分析を行なった。このNAM信号のSNRは約16dBであり,帯域は約3kHzであった。NAM信号の長時間スペクトルは500〜800Hzにピークがあり,約-17dB/oct.で高域減衰していた。このNAM信号の長時間スペクトルからNAMマイクロフォン特性を補正して求めたNAM本来の長時間スペクトルは、200Hz〜300Hzにピークがあり、約-23dB/oct.で高域減衰していた。この結果は、声帯共鳴音が生体軟組織を伝搬する際の減衰特性の数値シミュレーションの結果とほぼ一致する。
著者
澤田 優貴 平原 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.240, pp.25-29, 2009-10-15

本報告では誰もが不快に感じる絶対不快音を構成している要因を明らかにするために、16種類の不快音の音響分析と聴取実験を通じて不快感の原因となるスペクトル的特徴を明らかにする。その結果、音圧の高い音は不快度が高いこと、不快度の高い音は、5〜7kHzに強いスペクトル成分を持つこと、その強いスペクトル成分は、周波数的にも時間的にも不規則に出現していることがわかった。また、絶対不快音の強いスペクトル成分を逆フィルタで減衰させると、不快度は低くなることもわかった。