著者
清水 彰一 西尾 和晃 木村 誠 藤吉 弘亘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.11, pp.1909-1918, 2011-11-01

人の行動意図を認識しようとするFirst Person Visionでは,人の状態とその人が何を見ているのかという情報が必要となる.そこで我々は,人の眼球と人の視界映像を同時に取得するInside-Outカメラを提案し,そのカメラの構成を活かした注視点の推定法も提案する.Inside-Outカメラはハーフミラーを介して眼球を正面から,視界映像を眼球と同等の位置から撮影することができる.Inside-Outカメラでは,眼球を撮影した画像から得られる視線ベクトルと視界を撮影した画像から得られる注視点位置の関係を変換式で表すことが可能である.そのため,変換式のパラメータをあらかじめ推定することにより,視線ベクトルから注視点を推定する.評価実験では,指標を注視した際の両眼,両視界映像を撮影し,視界画像の指標位置を真値として視線ベクトルから推定された注視点との誤差を算出した.評価実験から視野角において約1.5度の平均誤差で注視点を推定可能であることを確認した.人間は1点を注視しているとき,注視箇所だけではなく視野角で約2度の範囲がはっきり見えていることが報告されていることから,この範囲を評価基準とすると,提案手法は,十分な精度をもつことが分かる.