著者
有賀 智也 渡辺 みどり 千葉 真弓
雑誌
日本看護福祉学会誌 (ISSN:13444875)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.101-114, 2014-03

本研究は、精神科病院に入院した認知症高齢者のBPSDに対する症状の軽減を図る精神科看護師の具体的な関わり方を明らかにすることを目的とした。認知症高齢者看護に携わる10名の看護師を対象とし、BPSDを軽減させるために具体的にどのような関わりを実施しているのかを調査した。その結果、BPSDの症状を示す『幻覚への対応』、『妄想への対応』、『徘徊への対応』、『興奮・暴力への対応』の4領域が得られた。重度BPSDを有する認知症高齢者への対応は、入院前からの経験、生活史に関する情報の収集、観察、アセスメントを継続する。それをもとに、適切な対応方法を個別に見出し、非薬剤的介入を実施する。しかし、個別的な対応を尽くしてもBPSDの軽減や消失が図れない場合は、適切な時期、適切な量の薬剤の使用、興奮を助長する過剰刺激を遮断しBPSDを鎮めるための隔離・拘束が必要となる。このような手順を経た関わりが重要となる。(著者抄録)
著者
南澤 汎美 渡辺 みどり
出版者
山梨医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究は新設の看護学科が将来付属病院を中心としてどのような看護を開発してゆく必要があるかについて考える資料にするために、当該病院を利用している入院患者の実態を知るとともに看護婦の独自な機能役割の一つとして将来とも重要な終末期の看護について大学病院という従来、先端医療を掲げてきた場所で殆ど重点が置かれて来なかった領域を実際にこれに携わってきた看護婦の意見を通じて考察することである。今年度はこの後半の目的のために、当該病院に3年以上勤務している看護婦を対象としてアンケート調査を行った。質問紙の内容構成は看護婦個人の臨床経験歴および終末期看護についての関心度、実際に自分が経験したターミナルケアの中で評価できると考える看護事例の内容とその理由、もしあれば逆に評価できない事例の内容とその理由を記述する、そして現実にターミナルケアを行う上で当院で困難があると考える問題は何か、それらを総合して大学の付属病院で終末期看護を進めることが望ましいと考えるか否かについて意見を求めた。約100名の看護婦から回答が得られた。半数以上の看護婦が5年以上当該病院での経験者であった。43名の看護婦が良い看護ができたと評価できる事例を記述しており、34名が良くなかったという事例を記述していた。回答した大部分の看護婦は終末期看護については積極的に取り組みたいとしているが、最終的に当該病院もその一つである大学付属病院で終末期看護を行うことについては意見があい半ばした。この理由を明らかにするために調査の記述についての分析をもう一歩深めることが必要と考えている。