著者
井村 俊義
出版者
長野県看護大学紀要委員会
雑誌
長野県看護大学紀要 = Bulletin Nagano College of Nursing (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.101-114, 2015-03-31

前近代から近代へと移行する中で,さまざまな分野の研究者や作家が時代の変化を書きとめてきた。そこには,私たちがいまや当然のものとして受け止めている近代という時代を相対化する視点が多く含まれている.伝統的世界観から近代的世界観への推移の中には死生観の変容も含まれており,それに関与している時間認識や共同体への認識,および表現形式の変化をも読みとることができる。それらの読解を通して,忌避される傾向にある近代以降の死を見直し,死生観に対する画一的な考え方を再考するとともに,死を扱う看護という分野においても総合的な知見が求められていることを示唆した。