著者
渡辺 ミチ 田村 照子 志村 純子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.204-209, 1981-04-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

高齢者衣服設計のための温熱生理学的基礎資料を得ようと, 64~80歳の有職女子5名, 対照群として20~25歳の女子学生5名を被験者として実験を行った. 23, 29, 33℃の3段階の温度条件を設定し, 夏季および冬季のおのおのおの午前に実施し, 次のような結果を得た.1) 高齢者の身体躯幹部皮膚温は, 青年老に比べて低温を示し, 四肢部皮膚温は, 寒冷環境での低下度, 暑熱環境での上昇度がいずれも小さい. これは, 高齢者の末梢部血管調節反応の機能低下を示すものと考えられる.2) 熱流量は, 低温の23℃において手部・足部ともに高齢者が有意に大きく, 高温の33℃においては高齢者の手部熱流量が有意に小さく, 皮膚温の結果とよく一致した.3) 高齢者の血圧は, 青年に比べて高い傾向にある. また, 環境の急速な変化に対して大きい血圧変動を示す. 4) 高齢者の脈拍数は, 青年に比べて有意に低い.以上, 高齢者の体温調節機能の低下が認められ, 衣服によりその躯幹部および四肢部の保護が必要であること, また, 急激な環境変化を身体に伝えないよう留意する必要のあることが明らかとなった.