著者
渡辺 和靖
出版者
愛知教育大学
雑誌
教養と教育
巻号頁・発行日
no.7, pp.31-42, 2007-03-31

音読をとおして作品の内容のみならず,言葉の響きやリズムをとおして,時代の雰囲気を理解させる試みを,山本有三の初期の戯曲作品を例として論述する。まだ歌舞伎の影響の残る明治の戯曲界に,斬新なスタイルと思想性をもって登場した山本有三の初期作品を制作順に読み解いていくことによって,テーマの広がりと,思想の深まりを跡づけていく。ここではその前篇を掲載する。あつかうのは1910年制作の「穴」から1914年の「曼珠沙華」まで。