- 著者
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渡辺 雄一郎
栗原 志夫
霧生 尚志
- 出版者
- 日本植物生理学会
- 雑誌
- 日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.2004, pp.S011, 2004
植物にウイルスが感染すると、同類のウイルスによる再感染から免れることが知られている。われわれはシロイヌナズナ-TMV Cgの系をもちいて、この干渉作用と呼ばれる分子基盤を解析している。まずTMV-CgからYDと名付けた人工弱毒ウイルスを作成した。このYDは増殖量は少ないがちゃんと全身感染し、無病徴で成長に影響を与えない。この状態に強毒TMV Cgが2次感染してもまったく受け付けない。病徴がでないのみならず、RT-PCRによる検出でもその2次感染は検出できない。干渉作用はRNAの配列レベルでの類似性に依存して起こる状況からposttranscriptional gene silencing (PTGS) 現象との類似性が示唆されてきた。しかし、いくつかのPTGSに関与することがしられた遺伝子の変異体シロイヌナズナでもこの干渉作用が観察されることから、PTGSとの相違点が明らかとなった。シロイヌナズナでは種々のmiRNAが合成され、通常の発生制御などに関わることが示唆されてきた。われわれはCgとYDが感染したシロイヌナズナにおいてmiRNAの量に変動があるのかを調べた。その結果、多くのmiRNAがCgの感染によってその蓄積が上昇することがわかった。それに対してYDが感染したアラビドプシスではmiRNA量に変動は見られず、miRNAの量の変動と病徴発現との関連が強く示唆された。