著者
渡邉 亜子
出版者
田園調布学園大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13477781)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.21-30, 2004-03-20

対照分析仮説では、学習者は母語の影響を強く受け、言語間の類似点には正の転移、非類似点には、負の転移が働くととらえられてきた。しかし、1970年代以降、対照分析仮説に対する批判が強まり、現在は学習者には母語の違いにかかわらず共通の言語体系が存在するという中間言語理論にもとづく研究が増加している。本研究は、対照分析仮説と中間言語理論の両者に対する疑問点を、韓国語を母語とする日本語学習者の助詞「に」と「で」、「は」と「が」の運用の実態から考察し、正の転移についての新たな考え方を提案するものである。