著者
亀井 文 渡邉 明恵
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】 さつまいも(芋)は食物繊維(DF)を多く含むでんぷん性食品である。先行研究では、生と加熱調理した芋のDF量を比べると、加熱調理によって不溶性食物繊維(IDF)量が増加傾向にあることが報告されている。レジスタントスターチ(RS)は胃や小腸で消化されることなく大腸に達するでんぷんであり、DF様のプレバイオティクスとして近年注目されている。また、RSは水に不溶であるので、定法の分析ではIDFの一部とされている可能性が高い。我々は先に、芋の蒸し加熱、電子レンジ加熱のRS量を報告している。本研究では、加熱調理した芋のRS量とIDF量を測定し、加熱調理によるIDF量の変化とRS生成との関わりについて検討した。<br>【方法】 徳島県産の鳴門金時(平成22年11月収穫)を用いて、生、茹で加熱(沸騰後15分間)、蒸し加熱(蒸気20分間)、電子レンジ加熱(200w・5分間)の4条件で試料調製を行った。RS測定用試料は、生と加熱直後にメタノールを加えて乳鉢中で磨砕しながら脱水した。その後、メタノールとアセトンで洗浄後、室温で乾燥しRS量を測定した。IDF測定用試料は生と加熱調理後に40℃20時間乾燥させたものを試料とした。RS量及びIDF量はメガザイム社のキットを用いた。<br>【結果】 RS量は、生が12.0%、茹でが8.8%、蒸しが10.2%、レンジ加熱が5.2%であった。IDF量は、生が5.0%、茹でが7.3%、蒸しが6.0%、レンジ加熱が6.2%であった。茹でおよび蒸し加熱はRS量がIDF量よりも多く、レンジ加熱はRS量がIDF量よりも少ない結果であり、芋のRS量とIDF量は定量法の違いにより数値を比較することは難しいと考えられた。