著者
渡邉 秀司
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 社会学研究科篇 (ISSN:18834000)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.37-54, 2014-03-01

本稿はオタクと自ら意識する人たちについて考察をおこなうものである。現状さまざまなオタク論があり,本稿では代表的な論者である大澤真幸,大塚英志,東浩紀のそれを整理し,それらが「大きな物語」という概念に関わる議論である事を述べた。そのうえで,オタクを考えるためには個別的なデータの収集が重要であるとして,インタビュー調査の内容を述べた。オタクと自認しオタクアイデンティティを獲得した人がオタクであるという田川隆博の見解を評価しつつ,オタクと自認する人とそれ以外の他者との緊張感が,オタクを考える上では重要なのではないかと結論づけた。オタクはオタクという特殊な人種ではない。オタクとは現代社会で爛熟した文化を享受する「普通の人」たちであり,オタクを考えることは現代社会を考えることにもつながるのである。
著者
渡邉 秀司
出版者
佛教大学社会学研究会
雑誌
佛大社会学 = Studies in sociology (ISSN:03859592)
巻号頁・発行日
no.42, pp.47-52, 2018

この小論では現代社会の人間関係について「優しい関係」「趣味縁」という二つの視点を概観したうえで,オタクと称される人たちの人間関係の視点を考察するものである。一般論として,オタクの人間関係には現代社会の人間関係とは違う特殊性があるのではと言われるが,オタクの人間関係も現代社会に生きる人たちの人間関係と一貫性を持つのではないかということを考察することを目指すためのものである。オタク優しい関係趣味縁人間関係