著者
渡邉 裕也
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングレビュー (ISSN:24350443)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.18-24, 2023-02-28 (Released:2023-02-28)
参考文献数
24

企業内にイノベーションに貢献するリードユーザーが存在し,その企業内リードユーザーが発案した製品のアイデア評価や,市場での製品パフォーマンスが高いことが明らかになっている。本研究では,企業内リードユーザーの資質を持った小売店舗販売員が,新製品開発において,どのようにイノベーションに貢献しているかを明らかにすることを目的とする。小売店舗販売員は,顧客接点から様々な情報を持ち,企業のイノベーション・プロセスに貢献ができると考えられる。その企業内リードユーザーの特徴を持った小売店舗販売員を活用した新製品開発のケーススタディを行なった。グラウンデッド・セオリー・アプローチで分析した結果,企業内リードユーザーの特性を持つ小売店舗販売員は,個人要因としてのリードユーザー特性を活用し,文脈要因としての企画開発部門との共創を通じて,顧客要因としての自身のニーズと顧客ニーズの融合することにより,新製品開発に貢献していることが確認された。
著者
渡邉 裕也
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
pp.2022.029, (Released:2022-05-16)
被引用文献数
1

企業外のリードユーザーがイノベーションに貢献していることが明らかになっているが,企業外に存在するために,企業が活用することは難しいという側面がある。一方で,企業内にも自社の製品を愛用し,リードユーザーの特徴を持った従業員である「企業内リードユーザー」が存在する。先行研究では,企業内リードユーザーのアイデアの評価に関する実験は存在するが,実際にアイデアが具現化された製品の市場におけるパフォーマンスの評価をしたものは存在しない。本研究では,アパレル小売業の事例をもとに,企業内リードユーザーのアイデアを製品化する過程で行われる共創が,市場での成果につながることを明らかにした。
著者
渡邉 裕也
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.71-79, 2022-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
36

メーカーではなくユーザーとして商業的に魅力的なイノベーションを起こすリードユーザーの存在が明らかになっているが,一般的にリードユーザーは企業外に存在するために,企業が継続的に活用することが難しい。一方では,企業内に自社が提供する製品やサービスのカテゴリーにおけるリードユーザーが存在することが明らかになっている。こうしたリードユーザーは,「企業内リードユーザー」(lead users inside the firm)とも呼ばれ,学術的に注目されている。本稿の目的は,企業内リードユーザーについて既存研究をレビューし,体系的に整理することである。レビューの結果,企業内リードユーザーがリードユーザーと従業員の二つの特徴を持つこと,企業内リードユーザーがアイデアの創造,アイデアの実行においてイノベーションに貢献していることが分かった。企業内リードユーザーの実態を明らかにすることは,リードユーザー研究を拡張するだけでなく,企業にとって自社の従業員を有効活用する上で貢献となるであろう。