著者
島 礼 山下 洋二 渡邊 利雄 菅村 和夫
出版者
地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

我々は、低分子2重基質ホスファターゼの機能解析を行い、二つの分子(DUSP26およびDUSP13B)の細胞内基質とその生理的機能を明らかにすることに成功した。 DUSP26が、KIF3A(KIFモーター複合体のサブユニット)に結合し、KIF3Aを介してKAP3を脱リン酸化することを明らかにした。さらに、DUSP26の脱リン酸化活性は、N-Cadherinおよびβカテニンの細胞-細胞の境界への集積や、細胞と細胞の接着性の維持に働いていることを明らかにした。一方で脳腫瘍のグリオブラストーマにおいてDUSP26の遺伝子発現を調べたところ、DUSP遺伝子プロモーターに著しいメチル化とともに、発現の減少が認められ、グリオブラストーマの持つ高い浸潤性の原因の一つに、DUSP26遺伝子メチル化/発現減少があることが考えられた。 DUSP13Bを、新たなMAPKホスファターゼとして同定した。DUSP13Bは、MAPKの特にJNKとp38を特異的に脱リン酸化する活性を持つことから、ストレス経路に働く新たな制御因子と考えられた。
著者
渡邊 利雄
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

『真のクラスリン依存性の細胞内小胞輸送の姿』を提示することを目指し、ノックアウトマウスを用いてArf1, CALM, SMAPの詳しい解析を行った。Arf1 KOマウスは胚性致死で、従来の他のファミリーによる相補は見られなかった。詳しい解析のためにArf1 KO MEF細胞を樹立した。CALM KOマウスの目の色の薄さを発見し、メラニンの蓄積にCALMが関与している可能性を見出した。取り込まれたc-kitチロシンキナーゼ型受容体の分解にCALMが必要なことを発見した。SMAP1,SMAP2二重が胚性致死である原因を探り、E7.5日胚でアポトーシスが起きていることを発見した。