著者
氏井 直樹 松岡 太一 原田 美和子 中村 深雪 川口 敬之 渡邊 愛記
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.337-344, 2023-06-15 (Released:2023-06-15)
参考文献数
13

強度行動障害を呈し長期間保護室対応となっている自閉スペクトラム症者に対し,大切な作業に焦点を当てた個別作業療法を実施した.その有効性を単一事例実験研究に基づき,強度行動障害やパニック回数の変化により検討した.その結果,強度行動障害やパニック回数が個別作業療法開始月より減少し,介入の即時的効果が認められた.また,パニックに対する振り返りが可能となり,パニックの対処法を作業療法士と共に考えられるようになったことから,多床室への転室が月に数日程度可能となった.これらより,大切な作業に焦点を当てた個別作業療法は,自閉スペクトラム症者における強度行動障害の変容をもたらすうえで有効であると示唆された.
著者
小澤 弘幸 渡邊 愛記 石井 杏樹 川上 祥 小林 健太郎
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.663-669, 2023-10-15 (Released:2023-10-15)
参考文献数
12

視空間認知障害を呈した左片麻痺症例に対し,単一事例実験研究による応用行動分析学に基づいた上衣の着衣練習の有効性を検証した.着衣動作を6つの工程に分割し,それぞれに対して介助量によって点数付けをし,その得点と着衣動作の遂行時間を計測した.ベースライン期では試行錯誤による着衣練習,介入期では時間遅延法と視覚的プロンプト・フェイディング法による着衣練習を行った.その結果,介入期ではベースライン期に比べて着衣の遂行時間と得点が有意に改善し,その後も着衣動作が継続的に可能となった.これらより,応用行動分析学に基づいた着衣練習は,視空間認知障害を呈した片麻痺患者に対する有効な訓練方法であると示唆された.