著者
佐原 宏典 渡部 武夫 渡邊 秋人 伊藤 裕明
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
航空宇宙技術 (ISSN:18840477)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.15-22, 2012 (Released:2012-01-31)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

This paper reports a development and demonstration of inflatable extension boom in the experiments of the ISAS/JAXA sounding rocket, S-520-25. The inflatable extension boom developed by the authors is the longest in ones with conductive part to work as an electrode for collection of electrons surrounding the rocket. S-520-25 sounding rocket was launched in August 31, 2010, and 5 experiments including an extension of the inflatable boom were conducted. The inflatable extension boom and its system worked very well with no problem to form 4-m-long electrode in space.
著者
藤井 裕矩 草谷 大郎 渡部 武夫 AN Andrew
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.43-50, 2006 (Released:2006-11-29)
参考文献数
27

非線形フィードバック制御における階層的微分最適手法を基礎とした,制御アルゴリズムの提案を行い,航空宇宙機の非線形制御の例として,軌道から帰還操作のために大きくピッチ角を変更させるスペースシャトルの非線形運動と,地表面観測のためにピッチングと上下運動を拘束した状態で等加速度水平飛行を行う飛行船の非線形運動へ応用し,最適なフィードバック制御問題を解いた.この制御アルゴリズムは,テイラー展開・緩和法などを用いるよりも,シンプルで計算時間も短くてすみ,精度も向上させるものである.また,トラジェクトリーコントロールやスピンアップ問題などのより複雑な非線形問題にも応用が可能であるといえる.
著者
渡部 武夫 藤井 裕矩
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.29-34, 2005 (Released:2005-12-28)
参考文献数
12

重力傾度によって安定する宇宙テザーシステムのテザー上に電流を流し地球磁場との干渉によるローレンツ力を推力に利用するエレクトロダイナミックテザー(EDT)推進が考案されている.これは,展開したテザーの両端にプラズマコンダクタを搭載することにより,電子を放出,収集し,周辺のプラズマを介した閉回路を形成する方法であり,従来の化学推進に比べて非常に高い比推力をもつ推進システムとして期待されている. このEDT推進システムにおいては,テザー上を流れる電流ベクトルの向きが推力の向きを決定するため,加速,減速の両方の推力を得るシステムを構築するには電流の向きが上下2方向に変更できる必要があり,プラズマコンダクタを加速用と減速用に二対搭載する必要がある.しかしながら,システムの姿勢,すなわちプラズマコンダクタの相対位置を任意に逆転することができれば一対のプラズマコンダクタで加速減速が可能になりシステムの大幅な簡素化,軽量化が見込める.この姿勢変更制御は,ある平衡点にある副質点を姿勢角にして180度逆向きの別の平衡点まで導く非線形制御問題としてとらえることができ,これまでの伸展,回収問題に続く新しいRest-to-Rest問題と定義できる. 本稿ではこの姿勢変更制御問題(逆転問題)に対して,リーマン距離を最短にする最適制御問題としたフィードフォワード制御、ならびにオーソドックスなフィードバック制御による数値解析結果を行った。数値解析の結果,最適経路による制御,フィードバック制御ともに,テザーの長さ・速度制御および張力制御によって重力傾度化された宇宙構造物の姿勢変更(逆転)制御が可能であること,および最適経路による姿勢制御が姿勢変更過程において対称で滑らかな軌跡を描くことを示した.