著者
藤井 裕矩 向井 浩子 津久井 一平
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.27-32, 2015-01-05 (Released:2017-06-12)

宇宙エレベータは,極めて魅力的な宇宙インフラストラクチャである.実現すれば,繰り返し使用できる低価格の宇宙への運搬手段となり,これからの宇宙開発に大いに益するとともに大量の核廃棄物の太陽への投棄を可能にするなど地球環境の救世主となることができる.一方,1)その期待される材料の可能性はいまだ未知である,2)テザーを介して運航するため運行速度が限られ放射線帯の影響を強く受ける,さらに,3)全体に巨大な面積で宇宙航行を妨げるのみならず宇宙デブリによる甚大な被害が予想される,など実現性に対して大きく疑問が投げかけられている.本稿では,宇宙エレベータを,宇宙テザーの究極の形態と考え,それに至るまでの構想を検討するとともに,実現することによる種々の問題点についての検討を提案する.
著者
藤井 裕矩 草谷 大郎 渡部 武夫 AN Andrew
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.43-50, 2006 (Released:2006-11-29)
参考文献数
27

非線形フィードバック制御における階層的微分最適手法を基礎とした,制御アルゴリズムの提案を行い,航空宇宙機の非線形制御の例として,軌道から帰還操作のために大きくピッチ角を変更させるスペースシャトルの非線形運動と,地表面観測のためにピッチングと上下運動を拘束した状態で等加速度水平飛行を行う飛行船の非線形運動へ応用し,最適なフィードバック制御問題を解いた.この制御アルゴリズムは,テイラー展開・緩和法などを用いるよりも,シンプルで計算時間も短くてすみ,精度も向上させるものである.また,トラジェクトリーコントロールやスピンアップ問題などのより複雑な非線形問題にも応用が可能であるといえる.
著者
渡部 武夫 藤井 裕矩
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
宇宙技術 (ISSN:13473832)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.29-34, 2005 (Released:2005-12-28)
参考文献数
12

重力傾度によって安定する宇宙テザーシステムのテザー上に電流を流し地球磁場との干渉によるローレンツ力を推力に利用するエレクトロダイナミックテザー(EDT)推進が考案されている.これは,展開したテザーの両端にプラズマコンダクタを搭載することにより,電子を放出,収集し,周辺のプラズマを介した閉回路を形成する方法であり,従来の化学推進に比べて非常に高い比推力をもつ推進システムとして期待されている. このEDT推進システムにおいては,テザー上を流れる電流ベクトルの向きが推力の向きを決定するため,加速,減速の両方の推力を得るシステムを構築するには電流の向きが上下2方向に変更できる必要があり,プラズマコンダクタを加速用と減速用に二対搭載する必要がある.しかしながら,システムの姿勢,すなわちプラズマコンダクタの相対位置を任意に逆転することができれば一対のプラズマコンダクタで加速減速が可能になりシステムの大幅な簡素化,軽量化が見込める.この姿勢変更制御は,ある平衡点にある副質点を姿勢角にして180度逆向きの別の平衡点まで導く非線形制御問題としてとらえることができ,これまでの伸展,回収問題に続く新しいRest-to-Rest問題と定義できる. 本稿ではこの姿勢変更制御問題(逆転問題)に対して,リーマン距離を最短にする最適制御問題としたフィードフォワード制御、ならびにオーソドックスなフィードバック制御による数値解析結果を行った。数値解析の結果,最適経路による制御,フィードバック制御ともに,テザーの長さ・速度制御および張力制御によって重力傾度化された宇宙構造物の姿勢変更(逆転)制御が可能であること,および最適経路による姿勢制御が姿勢変更過程において対称で滑らかな軌跡を描くことを示した.
著者
大久保 博志 原田 恭輔 渡辺 大誠 佐藤 強 藤井 裕矩 丸山 勇祐 岩原 誠
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部総会講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp._OS0201-1_-_OS0201-2_, 2016

A concept of a "Kite-type Wind-Power Generator" system is studied for evaluating the potential of an innovative high altitude wind power technology which utilizes a tethered buoyant WPG to extract energy from wind at higher altitude. The demonstration model consists of a straight blade windmill, a specially designed kite to elevate to high altitude, and a generator on ground, where the windmill and the generator are connected each other with a loop tether and wind energy is transferred from the windmill to the generator. A small demonstration model is studied experimentally by wind tunnel tests. Result of the present analysis and experimental study show an expecting facility to provide natural and eternal energy for the habitants in the city area.