著者
入波平 治 岡本 純子 長谷川 登志夫 町口 孝久 山辺 信一 湊 敏
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集) 第17回基礎有機化学連合討論会
巻号頁・発行日
pp.269, 2004 (Released:2005-03-31)

従来,ケテン-オレフィン反応におけるシクロブタノン生成は双性イオン中間体を経る2段階機構で進行すると考えられてきた。また、双性イオン中間体の実験的根拠は無く単なる「概念種」であった。我々はシクロブタノン生成がα-メチレンオキセタン(初期中間体)、双性イオン(第2中間体)を経る新規3段階機構で進行する反応を見出した。この双性イオン中間体は理論的検討により極めて不安定であるとされ、スペクトル的検出は不可能と考えられていた。しかし、本研究で双性イオン中間体のスペクトル的検出に初めて成功した。この双性イオンの濃度を保証する別の隠れた中間体の存在が考えられた。これを追跡したところ,このイオンの貯蔵、放出を担う新規中間体として双性イオン二量体を見出した。