著者
西本 善孝 森口 哲次 柘植 顕彦
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.225-225, 2006

シクロファン類は、π電子同士の空間を通した渡環的な相互作用などのπ電子の関与する分子内および分子間の弱い相互作用を検討する良好なモデル化合物である。 そこで、本研究では芳香環部位として平面かつ広いπ電子雲を持つピレンに着目し、ピレン環をベンゼン誘導体の近接位で架橋した1,3-置換ピレノファン類を合成し、それらの特性について検討することを目的とした。 これらは、UVスペクトルでは深色移動が観測され、これは環化後のπ共役系の拡張によるものと考えられる。 また、蛍光スペクトルでは、蛍光強度の減少という結果が得られた。 また、TCNEとの電荷移動錯体形成においても、興味ある知見が得られた。
著者
臼杵 直也 中薗 和子 高田 十志和
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.417-417, 2011

環状高分子は線状高分子とは異なる物理特性を示す。しかし、環状高分子の効率的な合成法が少なく、また通常高希釈条件下で反応を行うために高収率で得ることが難しいという問題点がある。そこで本研究ではこのような問題点を克服する新規環状高分子合成法として、上に示すロタキサン構造を利用した線状と環状の平衡を満たす[1]ロタキサンポリマーの合成について検討したので報告する。この系が達成できれば環状高分子の合成にとどまらず、線状と環状のトポロジー変換を行えるため、投げ縄の内孔や物性の変化を利用した新しいアクチュエーターへの応用等が期待できる。
著者
山崎 鉄也 高 云燕 韓 愛鴻 林 静容 村田 靖次郎 小松 紘一
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.324-324, 2004

C60を側鎖に有するポリチオフェンの前駆体として、ドナー性を強めたターチオフェン部分と、メチル基またはシアノ基を骨格上にもつアクセプター部位となるフラーレンが、エチニル基あるいはヘプチニル基で連結した化合物を合成した。これら4種類のターチオフェン-C60連結体は、ターチオフェン由来の非可逆な酸化波とC60部分の三段階の可逆な還元波を示した。特にシアノ付加体は、その電子求引効果によりC60とほぼ同程度の高い電子親和力をもつことが判った。これらを3価の鉄酸化剤を用いて化学的に酸化したところ、赤紫色の固体が得られ、MALDI-TOF MS分析により10量体までのオリゴマーが生成していることが明らかとなった。こうして生成したオリゴチオフェンの電気化学的性質などについても報告する予定である。
著者
日下 心平 坂本 良太 西原 寛
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.475-475, 2011

ジピリン亜鉛錯体は蛍光を示すが、その蛍光量子収率は一般に対応するホウ素錯体(BODIPY)に比べて低いことが知られている。今回、配位部位として励起エネルギーの異なる二つのジピリン配位子を有するヘテロビスジピリン亜鉛錯体1を合成した。1はトルエン溶液中において極めて高い蛍光量子収率(0.92)を示し、対応するホモビスジピリン亜鉛錯体2,3より高い値を示すことを明らかにした。
著者
濱口 正史 中石 将宏 永井 利一 安倍 学 益山 新樹 林 高史
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集) 第55回有機反応化学討論会
巻号頁・発行日
pp.29, 2005 (Released:2005-10-31)

アゾアルカンの脱窒素反応はラジカル類の効率的な発生方法として知られているばかりでなく、歪化合物の合成反応としても広く用いられている。例えば、1_-_ピラゾリン誘導体 AZ1 (R = H) の脱窒素反応はシクロプロパン類の合成に使われる。一方、我々は3位に電子求引性の置換基を有するピラゾリン誘導体AZ2 (R = COOMe) の脱窒素反応が、転位生成物を主に与える事を見出してきた。本研究では、そのピラゾリン誘導体の脱窒素反応に及ぼす顕著な3位の置換基効果を明らかにするために、量子化学計算を行った。その結果、3位に電子求引基を有するピラゾリンの脱窒素反応は協奏的な機構が有利となる事が分かった。発表では、その詳細を述べる。
著者
村中 厚哉 久保 恵子 畑野 光賞 内山 真伸 小林 長夫
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.50-50, 2006

ツユクサの青色色素コンメリニンは、アントシアニン、フラボン、マグネシウムイオンからなる金属錯体超分子構造をとる。本研究ではコンメリニンの青色発現機構を調べるため、1)励起子理論、2)時間依存密度汎関数理論による吸収・円二色性(CD)スペクトルを計算した。計算にはコンメリニンのX線構造の座標を用い、アントシアニンダイマー、トリマー、ヘキサマーの各理論スペクトルを計算した。ヘキサマーの理論吸収・CDスペクトルの特徴は実測の吸収バンドの分裂とCDパターンを再現した。
著者
高石 詩織 福田 貴光 小林 長夫
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.1P63, 2011

フタロシアニン(Pc)は高い平面性を有する18π共役系の機能性色素分子であり、その二量体はPc間の励起子的・電子的な相互作用のため、構造や結合様式によって特有の性質を持つことが知られている。本研究では、ビフェニルユニットで連結したプロペラ型のPcダイマーを新たに合成し、その分光特性の解明を行った。目的のPcダイマーは、吸収および円偏光二色性(CD)スペクトルにおいて、Pcユニット間の励起子的な相互作用と、Pc平面間のねじれによる特異な光学活性を示した。本発表では、Pcダイマーの磁気円偏光二色性(MCD)スペクトル、理論計算についても議論する。
著者
高石 詩織 福田 貴光 小林 長夫
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.158-158, 2009

フタロシアニン(Pc)は平面π共役系の機能性色素分子であり、その二量体であるPcダイマーはモノマーとは異なる性質を有することが知られている。ビフェニル連結型のPcダイマーは、ビフェニルの二面角が固定され2つのPcがねじれた構造の非平面型ダイマーになると予想されることから、これまでのダイマーにない新たな物性の発現が期待される。本発表ではそのようなビフェニル連結型Pcダイマーの合成と分光学的性質について報告する。
著者
小田 晃規 伊藤 聡信 辻本 篤 グエン チュン・タン 黒田 重靖
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.142-142, 2007

ピロリジンと2当量のアルデヒドを加熱・加圧下反応させることで1,3-ジアルキルピロールが簡便に合成できることを見出した。ベンズアルデヒド類およびalpha位にアルキル置換されたアルカナールを用いた反応では中ないし高程度の収率でピロール生成物が得られる。合成した1,3-ジアルキルピロールとTCNEとの反応を検討したところ二種類のトリシアノビニルエチレン置換体が生成物として得られ, 各種スペクトデータならびにX線結晶構造解析からそれらの生成物の構造を確認し、be-ta位置換生成物を主に与えることが判明した。これらの結果ならびに反応機構についての考察について発表する。
著者
宇野 英満 桝本 茜 黒木 健司 富永 和孝 小野 昇
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.327, 2002

Porphyrin oligomers have received great attention in various fields, because they are promising candidates for organic conductive materials, near IR dyes, molecular wires and so on. Many synthetic approaches to covalently linked porphyrins are reported for such purposes. We have succeeded in the new preparation of a bisporphyrin linked with a bicyclo[2.2.2]octadiene skelton. Our strategy provides an easy access not only to the gable porphyrin bearing spatially fixed porphyrin chromophores but also to a fused porphyrin dimer having a highly p-extended chromophore by simple pyrolysis. In this session, we will present the preparation and the property of gable diporphyrins, chromophores of which are connected with bis(ethano)anthracene and ethanonaphthalene moieties, and their conversion to acene-fused diporphyrins.
著者
村中 厚哉 安池 修之 劉 青原 栗田 城治 小林 長夫 吉田 健吾 内山 真伸
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.314-314, 2008

インドール・ベンゾフラン誘導体のN原子やO原子を重原子に置換した一連の化合物の電子状態について研究を行った。16族のヘテロ環化合物の電子吸収スペクトルにおける最低励起エネルギーは、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、ベンゾテルロフェンの順に原子半径に比例してレッドシフトしたが、インドール、ホスフィンドール、アルシンドール、スティビンドール、ビスムインドールの1-フェニル誘導体ではこのようなスペクトルシフトは観測されなかった。円二色性、磁気円二色性分光法と時間依存密度汎関数法を用いて観測された電子吸収スペクトルの帰属を行った。分子軌道を解析し、電子構造におけるヘテロ原子置換の効果を明らかにした。
著者
若林 成知 石浦 未希 逵 美沙季 西口 光恵 松本 絵美 山岡 里奈
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.3P50, 2011

我々はすでにアズレン骨格の1位または1、3位に2-ピリジル基または4-ピリジル基が結合したアズレン誘導体(例えば1)は、Hg2+ などのソフト金属イオンの添加により、青から赤に顕著に変色することを見出している。しかし金属イオンの選択性や感度に欠けるため、分析試薬としては満足できるものでない。今回、水銀イオンセンサーへの応用を検討するため、含硫ピリジルアズレン2, 3を合成し、その性質を検討したので報告する。
著者
高嶋 俊輔 阿部 肇 井上 将彦
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.253, 2009

当研究室で開発している糖認識性人工ホスト分子「エチニルピリジンポリマー」の側鎖に、一定間隔で環状ホスト部位を導入した。このポリマーへ、環状ホスト部位と相互作用する軸分子を加えると、擬ロタキサン構造が形成された。その結果、らせんのピッチ間が架橋され、主鎖であるピリジン骨格のらせん型高次構造が安定化されることがわかった。円二色性スペクトルを用いて糖認識能を評価したところ、軸分子の添加により円二色性が増大するアロステリズムが確認された。
著者
後藤 大介 赤崎 将 北川 敏一
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.147, 2008

1,2-ジクロロエタン中、AlCl<SUB>3</SUB>とC<SUB>60</SUB>の反応により、クロロエチル付加体(CH<SUB>3</SUB>CHCl-C<SUB>60</SUB>-Cl)が得られた。この付加体をフラレノール(CH<SUB>3</SUB>CHCl-C<SUB>60</SUB>-OH)に変換した後、強酸で処理することにより、新規フラーレンカチオン (CH<SUB>3</SUB>CHCl-C<SUB>60</SUB><SUP>+</SUP>)を発生させNMR観測することに成功した。これらのカチオンの構造と安定性を、これまでに報告した他のアルキルC<SUB>60</SUB>カチオンと比較して報告する。
著者
山口 虎彦 山本 陽介 木下 大輔 秋葉 欣哉 Reed Christopher A.
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集) 第57回有機反応化学討論会
巻号頁・発行日
pp.5, 2007 (Released:2008-10-06)

アレン化合物1a (R=Me)及び1b (R=Ph)を合成した. 1をジメチル化しスルホニウム塩とすることで超原子価6配位炭素化合物2を合成した.ヨウ化メチルと銀塩を用いてジメチル化することで目的物を結晶化することができX線構造解析に成功した.2bにおいてメトキシ基の酸素原子とアレン骨格の中心炭素との距離はフェノキシ基の酸素原子と中心炭素間の距離よりも短いことが分かった.また1aを二電子酸化することで安定な三重項カルベンの合成を検討した.
著者
あうん し し 上田 俊司 古賀 徹 五島 健太 張 華 新名主 輝男
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.217, 2009

我々は、[3<SUB>3</SUB>](1,3,5)シクロファンを始め、モノフルオロおよびヘキサフルオロ[3<SUB>3</SUB>](1,3,5)シクロファン類の光化学反応によりヘキサプリズマン誘導体を合成する研究を行っている。今回、これらのシクロファン類の無水および含水ジクロロメタン中での光反応をHPLCにより追跡し、かご型光反応生成物を単離・同定するとともに、光反応生成物間の相互関係を調べ、光化学反応機構を総合的に考察したので報告する。
著者
山代 智子 日高 陽 野北 里花 箱嶋 夕子 福永 晋太郎 山路 稔 新名主 輝男
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.72, 2004

大澤らの結合経由相互作用理論に基づき、[3<sub>n</sub>]シクロファン類の光化学反応を用いて高歪み化合物であるヘキサプリズマン誘導体の合成に挑戦している。現在までに[3<sub>3</sub>]シクロファンの光化学反応が行われ、ヘキサプリズマン誘導体を経由したと考えられる、新規かご型化合物の単離に成功している。ヘキサプリズマン誘導体の安定化を目的としたフッ素化[3<sub>3</sub>]シクロファンの光反応では、対応するヘキサプリズマン誘導体の分子イオンピークを得、現在生成物を確認中である。今回は種々の[3<sub>n</sub>]シクロファン類の光化学反応について生成物などについて発表を行う。
著者
日高 陽 山代 智子 安武 幹雄 新名主 輝男
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.255, 2004

当研究室では以前より、ヘキサプリズマン誘導体の合成を目指して[3<sub>n</sub>]シクロファン類の光化学反応を行なっている。そのなかの[3<sub>3</sub>]シクロファンについては詳細に検討されており、今回はこの[3<sub>3</sub>]シクロファンのベンゼン環の1,3,5位にメチル基を有するシクロファンについて光化学反応を行った。この光反応においては、本来からの溶媒反応以外に、g-シクロデキストリンに包摂させたシクロファンの光化学反応も行なった。
著者
福留 裕樹 畠山 琢次 原 賢二 中村 正治 中村 栄一
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1103, 2002

Development of the stereocontrolled carbon-carbon bond formation is one of the most important tasks in synthetic organic chemistry. We have reported that a zincated hydrazone, which is a synthetic equivalent and an isoelectronic compound of a metal enolate, reacts with various vinyl metal compounds such as vinyl silane, vinyl stannane, and vinylmagnesium halide to form a new functionalized organometallics bearing two metals at the same carbon. We recently found that a vinyl boronate can also serve as the carbometalation acceptor and shows high reactivity toward organozinc reagents. Here we report an alkenyl boronate, which possesses a variety of substituent at the &beta;-carbon to boron, undergoes the addition of a zincated hydrazone in high yields with high diastereoselectivity. The zincated hydrazone derived from 2-methyl-3-pentanone hydrazone, thus, reacted with <I>trans-</i>hexenyl boronate to give a product in 92% yield with high diastereoselectivity (d.r. > 99:1). On the other hand, the reaction to the corresponding <I>cis-</i>isomer gave another diastereomer with a diastereoselectivity of 16:84, showing high stereospecificity of the carbozincation process.