- 著者
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森永 正彦
湯川 宏
吉野 正人
小笠原 一禎
- 出版者
- 名古屋大学
- 雑誌
- 萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2006
光通信に用いられている石英系光ファイバーは、1.5μmの波長においてその損失が最も少ない。このため、波長が1.5μm近傍の発光材料の開発が急務である。本研究の目的は、エルビウム(Er)とアルミニウム(Al)を共添加したルチル(TiO_2)からの異常発光のメカニズムを解明し、ルチル系の新しい発光材料の量子材料設計を行うことにある。平成19年度の研究成果は、以下の通りである。1.2B属元素(Zn)添加による1.5μm帯の発光強度の増大昨年度の研究では、フォトルミネッセンス(PL)強度は、3mol%Er-TiO_2に比べて8mo1%A1-3mol%Er-TiO_2では約18倍、14mo1%Ga-3mol%Er-TiO_2では約23倍に増大した。このような異常発光現象は、8mo1%Zn-3mol%Er-TiO_2でも見られ、Ga添加材に匹敵するPL強度が観測された。一方、8mol%Cu-3mol%Er-TiO_2では、そのような現象は見られず、発光スペクトルは3mol%Er-TiO_2とほほ同じでPL強度も弱かったこのような添加元素による違いは、Al、Ga、Znはルチル(TiO_2)相中のTiと置換するのに対して、Cuは置換しないことが考えられる。共添加材の発光は、Erを固溶したルチル(TiO_2)相からのものであることが分かった。2.Erを固溶したルチル(TiO_2)相の中の発光の局所構造モデルの作成電荷補償の観点から、Erイオン周りの局所構造モデルを作成した。すなわち、+3価のErはTiO_2中の侵入型位置に入り、6個の酸化物イオンで囲まれている。添加元素(+3価のGa、A1や+2価のZn)は、Er近傍にある+4価のTiと置換して、電荷のバランスをとっている。例えば、Ga、Alの場合、Er近傍に3個が配置している。3.蛍光EXAFSによるエルビウム近傍の局所構造の決定8mol%Ga-0.5mol%Er-TiO_2を用いて、蛍光EXAFS測定を行った結果、上記のErの侵入型モデルを支持する結果が得られた。4.エルビウム(Er)の4f電子の多重項エネルギーの計算侵入型モデルを用いて、相対論DV-ME法によって、多重項エネルギーの計算を行った。