- 著者
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中嶋 琢也
長谷川 靖哉
湯浅 順平
河合 壯
- 出版者
- 奈良先端科学技術大学院大学
- 雑誌
- 特定領域研究
- 巻号頁・発行日
- 2008
電荷の局在状態の光制御を実現するシステムを目指し、ジアリールエテン、ターアリーレン(ジアリールアリーレン)へのイミダゾリウム環の導入を行った。光化学反応に伴い、導入されたイミダゾリウム環は正電荷が非局在化したイミダゾリウム型と局在化したイミダゾリニウム型に相互変換する。本年度は、この正電荷の局在構造変化によるソルバト、イオノクロミズムや反応性の発現など興味深い特徴を見出した。(1)イミダゾリウム置換ジアリールエテンはトルエンからピリジンまで幅広い極性の溶媒中においてフォトクロミック反応を示すことを見出した。閉環体における局在正電荷はルイス塩基結合サイトとして働き、高ドナー数を有する分子やアニオンと特異的に相互作用する。その結果、π共役構造を変化させ、マルチクロミック特性(光、溶媒、イオン応答)を示すことを見出した。(2)ジチアゾリルイミダゾリウムは種々の溶媒中で可逆的にフォトクロミック反応を示し、(1)と同様に、ソルバトクロミズムを示した。この場合、溶媒のドナー数ではなく誘電率に応答した吸収ピークシフトを示した。低極性溶媒中において局在カチオンはヨードアニオンと強く相互作用し、イミダゾリニウムのN(1)-C(2)-N(3)の二重結合性を低下させ、π共役系の縮小により低波長シフトを与えた。さらに、局在カチオンの高い反応性は、強い求核剤であるメトキシドとの求核付加反応によりphoto-gated reactivityとして実証された。