著者
柳田 祥三 長谷川 靖哉 岩室 光則 河村 祐一郎 和田 雄二
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.945-955, 2000 (Released:2009-11-13)
参考文献数
28
被引用文献数
2 4

The relatively low efficiency of Nd (III) emission in organic media has been improved by 1) suppression of the radiationless transition process via vibrational excitation of the surrounding medium, 2) prevention of dipole-dipole nonradiative energy transfer processes via energy migration, 3) suppression of radiationless transition of D2O molecules in the vicinity of Nd (III) complexes (formation of twelve-coordinate Nd (III) complex with DMSO-d6), 4) allowance of electron transitions of Nd (III) by the introduction of asymmetric ligand field, 5) photosensitization by use of energy transfer from organic ligands. The luminescence of NMI) was observed for the first time in undeuterated acetone when Nd (III) was complexed with bis-perfluorooctylsulfonylamine (pos). As to the applications of luminescent Nd (III) complexes, developments of luminescent lanthanide polymers and EL device were successful.
著者
中嶋 琢也 河合 壯 長谷川 靖哉 湯浅 順平
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

通常、高分子電解質の交互積層(Layer-by-Layer)法による薄膜の作成には水媒体が用いられるが、水分の存在は薄膜の応用を大幅に制限している。特に、水素貯蔵材料などの禁水系材料や電子デバイスのコーティングには無水条件が望まれ、非水系へのLayer-by-Layer法の展開が必要とされる。我々は、イオン液体がそのイオン組成により種々の物質、特に、ポリマーに対する溶解性を制御できることから交互積層膜作製の媒体として利用できると考えた。さらに、いくつかのイオン液体はセルロースやシルクならびにカーボンナノチューブなど難溶性の物質を容易に溶解できることから、分子性溶媒では達成できない薄膜が作製できると期待される。また、ナノメートルスケールで垂直方向に設計が可能な交互積層薄膜作製法の開発により、イオン液体含有高性能センサー作製のための基礎技術が確立できる。以上より、本研究では、典型的な高分子電解質、カーボンナノチューブならびにセルロースを材料とした交互積層薄膜の作製を行った。いずれの材料においても、規則的な膜厚成長が確認され、特にセルロースにおいては高透明、高強度の薄膜を与えた。
著者
中嶋 琢也 長谷川 靖哉 湯浅 順平 河合 壯
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

電荷の局在状態の光制御を実現するシステムを目指し、ジアリールエテン、ターアリーレン(ジアリールアリーレン)へのイミダゾリウム環の導入を行った。光化学反応に伴い、導入されたイミダゾリウム環は正電荷が非局在化したイミダゾリウム型と局在化したイミダゾリニウム型に相互変換する。本年度は、この正電荷の局在構造変化によるソルバト、イオノクロミズムや反応性の発現など興味深い特徴を見出した。(1)イミダゾリウム置換ジアリールエテンはトルエンからピリジンまで幅広い極性の溶媒中においてフォトクロミック反応を示すことを見出した。閉環体における局在正電荷はルイス塩基結合サイトとして働き、高ドナー数を有する分子やアニオンと特異的に相互作用する。その結果、π共役構造を変化させ、マルチクロミック特性(光、溶媒、イオン応答)を示すことを見出した。(2)ジチアゾリルイミダゾリウムは種々の溶媒中で可逆的にフォトクロミック反応を示し、(1)と同様に、ソルバトクロミズムを示した。この場合、溶媒のドナー数ではなく誘電率に応答した吸収ピークシフトを示した。低極性溶媒中において局在カチオンはヨードアニオンと強く相互作用し、イミダゾリニウムのN(1)-C(2)-N(3)の二重結合性を低下させ、π共役系の縮小により低波長シフトを与えた。さらに、局在カチオンの高い反応性は、強い求核剤であるメトキシドとの求核付加反応によりphoto-gated reactivityとして実証された。