著者
溝渕 佐知 新井 克也
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.223-224, 1996-09-04

近年、パーソナルコンピュータの一般家庭への普及に伴い、コンピュータを用いた,情報通信がますますさかんに行われるようになってきている。しかし、電子的なコミュニティにアクセスしていても、実際には会話に参加せず沈黙する人々が多い。この原因の一つとして、 既存のグループに新しいメンバが参入する際の、物理的・心理的・社会的な障壁が考えられる。本稿では、電子的メディア利用によって初めて可能になるコミュニティのあるべき姿について考察した後、新参者がグループの会話に加わる際の障壁として考えられる要因を挙げ、既存グループヘの新規参入時の認知モデルと、そのモデルから演繹される仮説を挙げる。
著者
溝渕 佐知
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.145-146, 1997-09-24

1.1 COIとは 電子メディアが我々のコミュニケーションに与えるインパクトとしては、時間的・空間的自由度の増大が挙げられる。すなわち、従来の集団が、地理的近接や年齢・職業といった属性の類似によって広がりの範囲を制限されたのに対し、電子メディアは、関心を同じくするものが時間的、空間的な距離を越えて結びつくことを可能にするといえる。本研究では、以下、このようなタイプの集まりを「Community Of Interest: COI」と呼ぶ。1.2 COIの現状と可能性 現在、メンバーの関心に基づいて形成される、電子メディアを介した集団には、メーリングリストや、商用ネットワークの「フォーラム」「SIG」などのユーザグループがある。これまでにネットワーク上にこのようなCOIが多数形成されてきているが、多くは「共通の関心領域の情報交換の場」として機能するに留まり、その集団として何らかの具体的成果物を出そうとする動きは稀である。しかし、多様なメンバが自発的に集まって形成されるCOIという場は、既成の枠に囚われず新しいものを生み出していくことのできる可能性を有しているといえる。本稿では、協調的創造活動の場としてのCOIの在り方を提案した上で、その実現の障害となる要因について指摘・分析を行う。