著者
滕 艶
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.158-176, 2001-03-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
85
被引用文献数
1

本稿の目的は,中国農村地域の小城鎮を対象とした研究に関するこれまでの成果を中国の国内研究を中心に整理し,本課題に関する研究の特色と動向を明らかにすることである.方法としては, 1980年代初頭から現在までの小城鎮に関する研究文献に,小城鎮開発をめぐる動向を加味し,中国の国内研究を中心に,時期別に整理する.そして,研究の内容と特色を考察し,小城鎮研究の問題点と今後の地理学的課題を提示する. 考察の結果,小城鎮研究について時期区分をすることができた.また,小城鎮に関する概念の多様性,農村の都市化の役割,開発要因,町づくり研究ならびに政府各部門の共同研究,モデル鎮実験の研究などの動向と内容を明らかにした.今後の課題として,集落範囲と属性などに着目した小城鎮概念の整理,小城鎮における労働力資質とその教育の改善に関する研究ならびに中国全地域を対象とする小城鎮研究とその定量分析などの必要性を指摘した.