著者
李 相太 野口 延由 龍見 重信 潮崎 裕也 中村 彰宏
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.624-632, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
14

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより,核酸増幅検査(NAAT)は多くの施設に普及した。NAATの結果は社会全体に大きな影響を与えるため,高い正確性および精確性が求められる。このため奈良県臨床検査技師会は,2021年7月にSARS-CoV-2 RNAのNAATの外部品質評価(EQA)を行った。EQA試料は,3つの陽性試料と1つの陰性試料で構成した。陽性試料は患者検体を用いて作成した低コピー試料(Sample 1)と高コピー試料(Sample 3)および市販の陽性コントロール(Sample 4)を,陰性試料は核酸分解酵素を含まない精製水(Sample 2)を用いた.評価は定性結果に基づいて行い,一部の試薬は,販売メーカーに依頼した測定結果を参考データとした。本EQAには,26施設が参加し,12種類の試薬,40テスト数が含まれた。各試料の正解率は,Sample 1が62.5%(25/40),Sample 2が100%(40/40),Sample 3が95.0%(38/40),Sample 4が67.5%(27/40)であった.不正解例は販売メーカーの参考データと一致していたため,試薬の検出感度や試料との相性などが要因と考えられた。参加施設の結果は試料や試薬の特性を反映しており,本事業の妥当性が示された。本EQAは,参加施設における継続的な検査品質の維持管理に貢献できるものと考える。