著者
三浦 温樹 澤田 隼 桂田 浩一 大村 英史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4T2GS1003, 2023 (Released:2023-07-10)

昨今のコロナ禍の影響により,オンラインや動画による授業を受ける頻度が急激に高まった.オンラインや動画による授業は場所を選ばずに受けられるため,自室などの誘惑の多い環境で受けることが多い.このような環境下では,ついスマートフォンで通知を確認したり,部屋にある授業と関係のない本や漫画を手に取ってしまったりなど,授業への集中力が欠如しがちになる.この問題を解決するために,本研究では駄洒落を用いて授業に集中させるシステムを提案する.駄洒落は言葉遊びの一つで,その楽しさやおかしさから聴取者の注意を引く.この機能を利用し,提案システムでは授業における重要な単語から駄洒落を生成し,ユーザの注意を授業動画に引きつけ集中力を向上させることを目指す.提案システムの検証実験により集中に関する一定の効果が得られたことを確認した.
著者
平井 辰典 澤田 隼
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2021-MUS-132, no.13, pp.1-10, 2021-09-09

本稿では,メロディ素片間の接続コストに基づいて後続メロディ候補を提示することによって,メロディの打ち込みを支援するインタフェースを提案する.著者らが提案した BiLSTM に基づくメロディ素片間の接続コスト [1] を活用して,実際にメロディの打ち込みを行う際に必要に応じて後続メロディや後続音符の候補を提示するインタフェースを開発した.具体的には,ピアノロール上にメロディを打ち込んでいくようなメロディ制作のシチュエーションを想定し,ユーザが入力済みのメロディを基に,後続のメロディや音符の候補を,既存のメロディによって構成されるデータベース内から探索し,ユーザに提示するようなインタフェースである.開発したインタフェースを使って実際にメロディの打ち込みを行うユーザスタディを実施し,本提案インタフェースの有効性についての評価を行った結果,その有効性が確認できた.さらに,本提案インタフェースを使った音楽制作の可能性についても議論する.
著者
澤田 隼 竹川 佳成 平田 圭二
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.941-950, 2018-03-15

本稿では,Generative Theory of Tonal Music(GTTM)を音楽のスペクトログラムに直接適用して階層的クラスタリングによってタイムスパン・セグメンテーションを生成する新しい方法を提案する.まず初めに,スペクトログラムを時間軸方向に分割し,周波数方向に縦長の矩形(bin)をピッチイベントとして,スペクトログラムを一連のbinの集合として考える.binのテクスチャの特徴は,グレーレベル同時生起行列(Gray level co-occurrence matrix: GLCM)を使用して抽出され,テクスチャ特徴量の時系列データを生成する.テクスチャ特徴量による隣接bin間の類似度によってフレーズの近接度および変化量が計算される.並列性および反復性などの大域的な構造は,一連のbinの自己相似性行列(Self-similarity matrix: SSM)によって検出される.隣接するbin間の境界の強さを表す時系列データが与えられ,隣接するbinをボトムアップに反復的に併合していくことで,最終的にタイムスパン・セグメンテーションに対応する系統樹を生成するアルゴリズムを開発する.MozartのK.331とK.550を入力して実験を行った結果,音高や調和などの音楽知識をほとんど考慮していないにもかかわらず,有望な結果が得られた.