著者
伊藤 克哉 中川 慧 今城 健太郎 酒本 隆太
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.3Xin409, 2023 (Released:2023-07-10)

機械学習による金融時系列の予測は実務的にも学術的にも重要な研究課題である。金融時系列は、ノイズが多く、非定常であり、更に機密情報を含む事があるため、分析が困難である。これらの課題に対して、本研究ではAugmentation and Bagging method for Confidential Data series Forecasting(ABCD-Forecast)という手法を提案する。ABCD-Forecastは「データ分析コンペティション」という現実の枠組みから着想を得ており、 多数の分析者が予測結果を送信し評価を受ける仕組みを仮想的に構築する。ABCD-Forecastでは、仮想的な分析者に多様な「ノイズ除去加工」をしたデータを配布する。この加工により多様で低ノイズなデータ生成が可能となる。コンペティション形式で、分析者から多様かつ正確なモデルを得、状況ごとに使い分けることで非定常な市場にも対処する。また、時系列を加工して配布することで、実際のコンペティションに於いても機密性を担保したデータ配布が期待される。本研究では実データを用いた実証分析により良好な予測精度が得られることを示した。
著者
是枝 祐太 森下 皓文 今一 修 十河 泰弘
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4Xin108, 2023 (Released:2023-07-10)

プログラムコードの再利用はソフトウェア開発における基本的な生産性向上方法であるが,コードレポジトリの説明文 (readme) は整備コストが高く,しばしばreadmeが整備されないことがコードの再利用を妨げている.近年報告された研究は関数・クラスなど数十行のコードに具体性の高いコメントを付与するが, readmeの生成においては数万から数百万行のコードを抽象的に要約して生成を行う必要があるため,コメント生成技術をreadme生成の問題にそのまま適用することはできない.本研究では,レポジトリが実施することの概要を示す代表的なコード断片 (代表コード) をヒューリスティクスと弱教師付き学習により抽出することで,大規模言語モデルでreadmeを生成できることを示した.主観評価と自動評価により,提案手法の有効性を確認した.
著者
銭本 友樹 古俣 槙山 宇津呂 武仁
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4A2GS605, 2023 (Released:2023-07-10)

対話システムは常に一貫した口調を保つことが望まれるため,文全体の口調の類似性評価は重要なタスクである.しかしながら日本語には多様な口調が存在し,口調ごとに特徴的な語彙や語法は膨大に存在するため,文全体の口調の類似性評価は困難なタスクである.そこで本研究では,文章同士の口調の類似性を評価可能な文ベクトル(以下口調ベクトル)を生成する口調埋め込みモデルを提案する.口調埋め込みモデルは,事前学習済みのBERTモデルを対照学習でファインチューニングして構築する.対照学習に必要な類似した口調及び異なる口調の文章ペアは,ウェブ小説中の連続した発話文を利用して大規模に自動収集する.また,Ward法を用いた口調ベクトルのクラスタリングによって,全体的な口調の種類と,各口調での特徴的な語彙や語法について分析する.最後に,発話相手や周囲の状況による同一人物の口調の変化に着目し,小説の登場人物の発話文全体における口調ベクトルのばらつきを分析する.
著者
竹下 昌志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1K5OS11b03, 2023 (Released:2023-07-10)

人間とAIやロボットなどの人工物との親密な関係の価値について様々な仕方で議論されており、一部の人々は、そのような親密な関係には人間同士の場合と同等の価値があると主張する。だがそのような主張は正当化されるだろうか。本発表では人間とAI・ロボットの親密な関係の価値を擁護する上で次のようなジレンマがあると主張する。一方で(1)人間同士の親密な関係の価値の典型的な説明を前提とすると、人間と現状のAI・ロボットは価値ある親密な関係を築けると言うのが困難になる。仮に高度なAI・ロボットとの価値ある親密な関係が築けるとしても、その関係がここで擁護したい人間とAI・ロボットの親密な関係としてみなされるかどうかは疑わしい。他方で(2)人間同士の親密な関係の価値の説明を前提としなければ人間とAI・ロボットの親密な関係の価値を認めることができるが、親密な関係一般の価値を十分に捉えることが困難になる。本発表ではこのジレンマを説明した後、ジレンマから抜け出す方法を整理する。次に既存研究を検討し、それらはジレンマから抜け出せていないと主張する。最後に、筆者が望ましいと考える方法を提示する。
著者
中野 幹生 駒谷 和範
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4A2GS604, 2023 (Released:2023-07-10)

対話システムの構築には様々な技術の統合が必要なため,情報技術教育の題材として有効であると考えられる.しかしながら,既存の対話システム構築フレームワークは情報技術教育を目的としたものではないため,必ずしも初学者が学習目的で使うのに適しているとは言えない.そこで我々は,拡張性の高いアーキテクチャを持ち,可読性の高いコードで書かれた対話システム構築フレームワークDialBBを開発している.DialBBは,ブロックと呼ぶモジュールを組み合わせることで対話システムを構築できる.システム開発者は,DialBB付属のブロックを用いることで簡単にシステムを構築できるが,自作のブロックを用いて高度なシステムを構築することもできる.DialBBを複数のシステムの構築に利用してもらい,対話システム構築フレームワークとしての有用性を確認した.
著者
宮原 克典
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1K5OS11b04, 2023 (Released:2023-07-10)

2022年6月、Googleのエンジニアが、大規模言語モデルLaMDAには意識があり、一人の主体として扱われるべきだと主張した。Google社は主張を退け、多くの論客がそれに賛同した。大規模言語モデル(LLM)への主体性の帰属を否定する理由は、いくつかある。(1)LLMの内在的特性に関わる理由:LLMは意識も意図ももちえない。(2)LLMへの主体性の帰属の帰結に関わる理由:LLMを主体として扱うことは、より重要な問題から社会の注意や関心を逸らせる。(3)個人のウェルビーイングに関わる理由:LLMを主体として扱うことは、本人の社会的孤立につながりうる。本発表では、これらの理由を検討し、LLMを主体として扱うべきではないと断言するのが意外に難しいことを示す。また、ロボットの道徳的地位やフィクトフィリア(架空の存在への性愛)をめぐる議論を引きながら、LLMへの主体性帰属の正当性を判断するためのポイントを整理する。
著者
尾崎 大晟 中川 智皓 内藤 昭一 井之上 直也 山口 健史 新谷 篤彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4Xin111, 2023 (Released:2023-07-10)

教育現場をはじめ,批判的思考力の育成が求められている.議論における適切な反論例を被教育者に示すことは重要である.しかし,教育者が多様な反論例を考えたり,評価したりすることは負担が大きい.そこで本研究では,批判的思考力育成に有効かという観点から,昨今注目を浴びている大規模言語モデルであるGPT-3と,オンラインディベートフォーラムの議論を用いて,自動生成される反論文の品質評価,及びGPT-3を活用する上での生成文の高品質化可能性の検証考察をすることを目的とする.収集した議論例からGPT-3へのプロンプトを作成し,トピック毎に生成文をまとめ,収集した反論と生成した反論の同項目でのスコアリングによる人手での評価と,BERTScoreによる文章一致率評価をする.結果として「反論文単体での論理の正しさ」と「立論に対しての反論文になっているか」の項目において高い数値を得た.また生成した反論は収集した反論とBERTScore上高い類似度であることを示した.各評価項目毎の入力文と生成文の比較,並びに入力方式毎の生成の相違点,今後の課題について報告する.
著者
山田 健太 青田 雅輝 並木 亮 横山 源太朗
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2H1OS3a01, 2023 (Released:2023-07-10)

政治資金収支報告書は、政治団体によって提出され、政治資金規正法により公表が義務付けられています。しかし、これらの報告書は多くが手書き文字を含む紙媒体であり、機械判読に適さず、オープンデータの定義を満たしません。そのため、これらのデータをデータベース化することで透明性が向上し、市民による政治的な意思決定への参加が促進されると考えられます。本研究では、政治資金収支報告書の「(その2)収支の状況」に限定し、光学式文字認識(OCR)技術を用いてデータの抽出と整備を行いました。具体的には、2019年に提出された政治資金収支報告書に対し、収支の状況ページからデータを抽出し、データセットを構築しました。また、作成したデータセットを元に分析例を示しました。本研究は、政治資金データベースの作成に向けた第一歩であり、今後も政治資金報告書の形式やデータの改善に取り組むことが求められます。政治資金データベースの構築は、より透明で民主的な社会を実現するための重要な一歩であると考えられます。
著者
高野 雅典 高 史明 荻上 チキ 永田 夏来
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2H1OS3a03, 2023 (Released:2023-07-10)

著名人やインフルエンサーのネットハラスメント被害が問題になっている。ネットハラスメントは、著名人/インフルエンサーを精神的に苦しめ、社会にも悪影響を及ぼす。一方で著名人・インフルエンサーのネットハラスメント被害に関する研究は限られており、その影響も明らかでない。本研究では実態と課題を明らかにすることを目的として、日本の著名人・インフルエンサー(N=213)を対象に、ネットハラスメント被害、精神的ダメージ、加害者への対応についての調査を行った。本発表では、調査結果を報告し、課題解決のためのアクションについて考察する。
著者
中分 遥 五十里 翔吾 EMILY Burdett 佐藤 浩輔
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1K5OS11b02, 2023 (Released:2023-07-10)

近年、接客ロボットの普及や大規模言語モデルを用いた対話モデルの躍進により、人間と、ロボットやAIなどといった人工主体との関わりが重要になっている。本発表では、こうした背景を受けロボットやAIに関連した道徳的問題、特にロボットに対する道徳的配慮に関する問題について、既存の知見ならびに発表者らが行ってきた実証的な心理学研究に基づいて考察する。具体的には、宗教や教育といった社会的ドメインでロボットを用いることに対する評価は年齢によって異なることを示す研究や、ロボットに対する道徳的な態度が宗教といった文化的背景に影響を受けることを示す研究を紹介する。これらの知見に基づき、人間とそれら人工主体からなる社会の将来像について議論する。
著者
高橋 悠太 藤井 純一郎 天方 匡純
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1O3GS703, 2023 (Released:2023-07-10)

土木分野における特異な物体検知はその多様さに比べてデータが少ない.ドローン河川巡視はドローンにより広大な河川領域を撮影し,一般ごみを含む不法投棄などをAIにより検知することになる.常時飛行でない場合,空撮で捉えられることは少なく,一時的な不法占用等はさらに困難となる.既往の研究において,画角は異なるが地上で撮影された画像を学習データに加えることで学習を改善する効果が確認されているが,地上撮影であっても画像数が要求される.本研究では,学習を改善するデータ補強用の画像をStableDifusionなどの画像生成AIにより生成・学習が改善するか検証を行った.
著者
富田 真生 村井 源
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1T4GS402, 2023 (Released:2023-07-10)

近年,SNSにおけるトラブルが問題となっている.トラブルの要因はいくつか存在するが,その一つに「煽り」が存在する.しかし,SNSにおける「煽り」の詳細な定義付けはされておらず,正確な検出は実現されていない.そこで,本研究では,SNSにおける「煽り」の精度の高い検出を実現するために,煽り表現の分類を行った.対象データとして,Twitter APIを用いて煽りと分析者が判断したツイートを収集し,構成要素と考えられる手段と意図,話題を抽出して,アノテーションした.そして,各ツイートに含まれる構成要素の統計データを用いて,χ二乗検定,因子分析を行った.χ二乗検定では,構成要素のカテゴリごとに頻出しやすい組み合わせが得られた.因子分析では,プロモーション系,決めつけ系,誹謗中傷系,マウント系,誘導系の因子などが得られた.得られた結果は,SNSにおける「煽り」の構成要素と,その関係性に関する特徴を示しており,煽りツイートの分類に有用であると考えられる.
著者
今井 倫太
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2I6OS4a01, 2023 (Released:2023-07-10)

インタラクションの文脈を捉える人工知能技術が出現しつつある。本稿では、ある情報を人同士の会話に合わせた情報と変換したり、ある人の発言を、既に進行中の会話に合わせた物へと適応したりする情報文脈化技術について提案する。情報文脈か技術の実例を検討することで、人や情報をインタラクションの文脈へ載せるコンテキストラインディング支援の可能性について考察する。
著者
廣瀬 伸行 白松 俊 奥原 俊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1N4GS1002, 2023 (Released:2023-07-10)

本研究はGPT-3を用いたアドバイスの自動生成によって、学生の学習計画と振り返り内容に対する支援を行う。自動生成されたアドバイスの内容について性能評価を行う。 事前に定めたルーブリックによって学生の記述の問題点を判定することで、(1)学生個別の内容に応じたアドバイスの生成ができるか、(2)品質の揃ったアドバイスを生成できるかなどを検証した。 自動生成されたアドバイスは,学習者の記述内容とROUGE-1 0.405, コサイン類似度0.906.ルーブリック評価に沿った定型文とコサイン類似度0.872という結果が得られた.これらの結果は手動作文と学習者の記述内容間の結果と近似したため,教員作文に近いバランスのアドバイスが生成できたことが示唆された.なお,コサイン類似度は,GPT-3のEmbeddingを用いた.今後の課題は,失敗例の改善検討と定性評価による検証である.
著者
和田 伸一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2H4OS3b03, 2023 (Released:2023-07-10)

本研究の目的は, ベクトル空間での単語埋め込みモデルを使った方法が, 構造主義的社会学(ブルデューなど)において検討された方法を高次元で実現できることの有用性, 応用可能性を示すことにある。後者の方法とは, 社会的空間内での行為者たちの間の相対的位置の関係(距離)を重視する関係論的分析の方法を指す。具体的には, 「育児休暇」に関するTwitterデータを収集し, 高次元のベクトル表現データを作成し, 三次元座標空間へのマッピング, クラスタリングを行うことによって, 公的空間からは見えにくい多面的な視点から, 行為者の多様な実践を一定程度可視化することを行った。
著者
根本 一久
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4Xin173, 2023 (Released:2023-07-10)

本研究の目的はeスポーツにおけるPCで行うFPSゲームにおいて上級者と初心者のマウスの扱い方の違いを骨格検出で分析し初心者がマウスの扱い方を変えたらどのような変化があるのか実験しました。本稿では、分析方法の概要と初心者が上級者とマウスの持ち方を同じにした結果、実験に用いたゲームタイトル(VAROLANT)でのランクがブロンズ2からゴールド3までランクが6上がった結果を解説しています。
著者
関 キン 水田 孝信 八木 勲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4T2GS1004, 2023 (Released:2023-07-10)

ETF(Exchange Traded Funds, 上場投資信託) は,多くの株式や債券などに分散投資した投資信託(ファンド)で,証券取引所で売買できるため多くの投資家に広く普及した.ETF は組み入れている原資産をすべて集めたものと交換ができるので,ETF と組み入れ原資産に価格差があるときに,安いほうを買い,高いほうを売って価格差を利益とする取引(裁定取引)が行われている.しかし,このような裁定取引がETF市場や原資産市場の流動性に与える影響についてこれまで詳細に議論されてこなかった.本研究では,2つの原資産とそれら合計と同じ価値のある1つの ETF の3つの市場からなる人工市場を構築し,原資産と ETF の間で裁定取引が実施されるときとそうでないときで流動性にどのような違いがあるのかを,代表的な流動性指標 (Volume,Tightness,Resiliency,Depth)を利用して検証した.
著者
水田 孝信 八木 勲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2N5GS1001, 2023 (Released:2023-07-10)

証券取引所は市場価格の急変動をおさえるため,現在の価格から大きく離れた価格の注文を出せないようにする値幅制限や,価格が急変動した際にある一定時間注文を受け付けないサーキットブレイカーを導入する場合があるが,どちらがより価格の急変動をおさえるかは多くの議論がある.本研究では人工市場を用いて値幅制限とサーキットブレイカーの効果の比較を行った.その結果,両者は制限幅や時間スケールといったパラメータを同じにすれば,同じ程度に急変動をおさえる効果があることが分かった.しかし,投資家が注文をキャンセルする時間スケールより値幅制限が短いパラメータを持つ場合,制限価格に付近に注文がたまってしまい,その注文が急変を緩和する方向への価格変動を妨げてしまい,サーキットブレイカーよりも価格急変動をおさえる効果は劣ってしまうことも分かった.今回の結果だけを見れば,値幅制限よりもサーキットブレイカーの方が優れているように見える.しかし今回の結果は,誤発注による下落であり,かつ,いずれの規制も個別銘柄に導入された場合のみを分析しているなど,非常に限定的な状況下のことしか示していないことに注意が必要である.
著者
佐藤 優介 角 薫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2T6GS905, 2023 (Released:2023-07-10)

ゲームプレイヤーの腕前には個人差があるため,万人に満足してもらえるような難易度設定は難しく,不適当な難易度はゲームプレイヤーにとってストレスとなり,ゲームからの離脱を招く恐れがある.コンピュータがゲームプレイヤーのプレイ状況を分析し,適当な難易度に調整する動的難易度調整が注目されている.本研究では,生体センサを用いて,リアルタイムに情動の変化を推定し,リアルタイムに情動の変化を推定し,情動に合わせてゲームの難易度を自動的に調整することのできるゲームを開発した.皮膚電気活動や心拍数などの生体情報を用いて,ゲームプレイヤーのゲームプレイ中の不安や退屈といった情動を推定する際の指標になり得る生体情報を検討し,生体情報から情動を推定して動的難易度調整のパターンを比較し検証を行った.実験によって得られた結果から,ゲームシーンや難易度によって発現しやすい情動が異なることが明らかとなった.
著者
河村 和紀 池之内 颯都 石川 峻弥 村上 綾菜 河野 慎 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.2G4OS21d04, 2023 (Released:2023-07-10)

本論文では、グラフで表される環境において事前知識を有効に活用して最適な方策を求めるための世界モデルに基づく強化学習手法を紹介する。ゲームや交通ネットワーク、知識グラフ、社会ネットワーク、通信ネットワークなど、仮想世界や現実世界においてグラフで表される環境は多い。これらの環境で最適な方策を求めるための手法はいくつかあるが、既存の研究においては、類似した環境下で獲得した事前知識を新たな方策を学習する際に活用できていない。そこで、本研究ではグラフで表される環境に対する事前知識を獲得した状態でより良い方策を学習する手法を提案する。また、グラフで表される迷路ゲームをシミュレーションし、提案手法が事前知識を用いない単純な強化学習モデルよりも性能が良いことを示す。