著者
能勢 晶 濱崎 天誠
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.111, no.6, pp.362-370, 2016 (Released:2018-07-13)
参考文献数
16

清酒製品の着色は,品質劣化の大きな要因であることから,製造者及び販売店は輸送時や店頭での着色増加が起こらないよう大きな注意を払っているのが現状である。 着色反応は温度の影響を最も大きく受けるが,今回,割水由来のフミン酸が存在すると,低温下でも蛍光灯の光により徐々に着色が進行し品質が劣化していくことが著者らによって見出された。 最近は,出荷前の瓶貯蔵が多くのメーカーで行われており,店頭での陳列時と合わせて,蛍光灯の光を受ける機会が増えてきており,当事者の知らない間に着色が進行していることが考えられる。醸造用水の環境悪化による有機物の混入も多くなってきていることから,フミン酸による着色現象や着色機構,品質への影響等について解説して頂いた。熟読をお勧めしたい。