- 著者
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濱生 和加子
青木 克
清水 唯男
内田 貴久
- 出版者
- 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
- 雑誌
- 日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.4, pp.403-410, 2000
目的: 特発性顔面手掌多汗症 (多汗症) 患者の心理特性と, 胸腔鏡下交感神経遮断術 (ETS) 後の患者の心理状態を調査し, ETS治療の有効性を検討する。方法: 多汗症患者を対象に, TEG (東大式エゴグラム・第2版), POMS (気分プロフィール検査), MMPI (ミネソタ多面的人格検査) をETS前に施行し3カ月以降に同心理検査とアンケート調査を行なった. 結果: TEGより, 多汗症患者は依存的, 消極的タイプが多いといえるが, 不適応的自我パターンが多いとはいえず, 術後は特に女性で適応的自我パターンに変化した. POMSでは, 多汗症患者に感情的問題が多いとはいえず, 術後に特に男性で気分状態は改善した. MMPIでは,「精神衰弱性」,「偏執性」,「抑うつ性」尺度に高得点を示す症例が多かったが, 術後は減少傾向を示した. 術後アンケートでは, 代償性発汗は全例にみられ, 約40%の患者が日常生活への支障を訴えたが, ETSを受けた患者の約95%は手術治療に対し満足感を表明した. 結論: ETS後, 多汗症患者の自我状態は自己肯定的に変化し, 気分状態も改善するが, 手術適応には, その患者が代償性発汗を受容できるかどうかの見極めが問題となる.