著者
濱生 和加子 青木 克 清水 唯男 内田 貴久
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.403-410, 2000-10-25 (Released:2009-12-21)
参考文献数
8

目的: 特発性顔面手掌多汗症 (多汗症) 患者の心理特性と, 胸腔鏡下交感神経遮断術 (ETS) 後の患者の心理状態を調査し, ETS治療の有効性を検討する。方法: 多汗症患者を対象に, TEG (東大式エゴグラム・第2版), POMS (気分プロフィール検査), MMPI (ミネソタ多面的人格検査) をETS前に施行し3カ月以降に同心理検査とアンケート調査を行なった. 結果: TEGより, 多汗症患者は依存的, 消極的タイプが多いといえるが, 不適応的自我パターンが多いとはいえず, 術後は特に女性で適応的自我パターンに変化した. POMSでは, 多汗症患者に感情的問題が多いとはいえず, 術後に特に男性で気分状態は改善した. MMPIでは,「精神衰弱性」,「偏執性」,「抑うつ性」尺度に高得点を示す症例が多かったが, 術後は減少傾向を示した. 術後アンケートでは, 代償性発汗は全例にみられ, 約40%の患者が日常生活への支障を訴えたが, ETSを受けた患者の約95%は手術治療に対し満足感を表明した. 結論: ETS後, 多汗症患者の自我状態は自己肯定的に変化し, 気分状態も改善するが, 手術適応には, その患者が代償性発汗を受容できるかどうかの見極めが問題となる.
著者
池田 崇 長澤 弘 山下 哲也 堀内 裕一郎 内田 貴久 野村 千尋 久合田 浩幸 磯和 祐喜子 石田 邦子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.47-52, 2015 (Released:2015-03-18)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

〔目的〕介護老人保健施設(老健)の入所者の消費エネルギー量と摂取エネルギー量の出納を算出し,自宅復帰か施設入所かの転帰に及ぼす影響について明らかにすること.〔方法〕対象は老健入所者121例.転帰をもとに自宅復帰群58例と施設・入院群63例の2群に分類し比較した.入所から1ヵ月の時点で,消費エネルギー量を24時間行動表とMETsから算出し,食事誘導性熱産生を加えて総消費量を求めた.また,摂取エネルギー量との差からエネルギー出納を算出した.さらに利用者背景,入所時FIMの評価を実施した.〔結果〕エネルギー出納は自宅復帰群で有意に高値であった.年齢,要介護度区分および入所時FIMには差は認められなかった.〔結語〕総消費エネルギー量を算出し,エネルギー出納をプラスバランスに維持する事で自宅復帰に寄与することが示唆された.
著者
吉川 雄一郎 松本 吉央 熊崎 博一 上出 寛子 内田 貴久
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

発達障害者の孤立が社会問題となっている.これに対し本研究では,人が遠隔地から操作するロボットの傍に別の自律型ロボットを配置し,これら2体のロボットが生み出す対話にロボットの周囲にいる人々を引き込むことで,発達障害者がコミュニティの人々と交流できる対話システムを実現する.このために,人々との過去の対話内容を基に新たな対話をし続けられる自律型ロボットを開発し,これを発達障害者が操作する遠隔操作型のロボットと連携させることで,継続的な対話を生み出す対話支援システムを開発する.そしてこれを発達障害者のコミュニティに設置し,継続的な交流支援を実現する.
著者
小谷 尚輝 内田 貴久 亀尾 菜保子 境 くりま 船山 智 港 隆史 菊地 あかね 石黒 浩
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2022-HCI-199, no.14, pp.1-6, 2022-08-15

近年遠隔授業や遠隔講演会の社会的ニーズが高まり,登壇者及び聴講者の時間的,物理的制約を軽減することが期待される.アバターを用いることにより,本人が行う講演と同等またはそれ以上の質の遠隔講演が可能になると考えられる.特にアンドロイドアバターを用いれば,聴講者に対して人間が登壇するのと変わらない存在感を感じさせられると期待できる.本研究ではアンドロイドアバターが高校において数百人規模の講演会を行い,聴講者のアンドロイドアバターに対する印象を評価した.聴講者のアンドロイドに対する評価尺度として,擬人化,温かさ,能力,不快感を用い,さらに教育的観点から,ロボット講演に対するエンゲージメントと理解度の主観的評価を行った.これらから,現時点における遠隔操作アンドロイドアバターの効果とその発展性について議論する.
著者
濱生 和加子 青木 克 清水 唯男 内田 貴久
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.403-410, 2000

目的: 特発性顔面手掌多汗症 (多汗症) 患者の心理特性と, 胸腔鏡下交感神経遮断術 (ETS) 後の患者の心理状態を調査し, ETS治療の有効性を検討する。方法: 多汗症患者を対象に, TEG (東大式エゴグラム・第2版), POMS (気分プロフィール検査), MMPI (ミネソタ多面的人格検査) をETS前に施行し3カ月以降に同心理検査とアンケート調査を行なった. 結果: TEGより, 多汗症患者は依存的, 消極的タイプが多いといえるが, 不適応的自我パターンが多いとはいえず, 術後は特に女性で適応的自我パターンに変化した. POMSでは, 多汗症患者に感情的問題が多いとはいえず, 術後に特に男性で気分状態は改善した. MMPIでは,「精神衰弱性」,「偏執性」,「抑うつ性」尺度に高得点を示す症例が多かったが, 術後は減少傾向を示した. 術後アンケートでは, 代償性発汗は全例にみられ, 約40%の患者が日常生活への支障を訴えたが, ETSを受けた患者の約95%は手術治療に対し満足感を表明した. 結論: ETS後, 多汗症患者の自我状態は自己肯定的に変化し, 気分状態も改善するが, 手術適応には, その患者が代償性発汗を受容できるかどうかの見極めが問題となる.
著者
内田 貴久1 2 港 隆史 石黒 浩1 2
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究の目的は,雑談のような非タスク指向型対話において,ユーザの対話意欲を喚起する対話アンドロイドの構築である.人間の対話意欲をかき立てるためには,主観的な意見を述べることが効果的であるとされている.しかし,ユーザは対話アンドロイドが主観的な意見を述べることに対して不自然さを感じる場合がある.本研究では,ユーザがアンドロイドが主観的意見を述べることに不自然さを感じるのは,その主観的意見を持つに至る理由となる,アンドロイドの能力に関する背景情報が欠落しているためであるという仮説を立てた.実験の結果,アンドロイドが話者の場合は共通基盤を形成した上で意見を述べないと,意見を持つことに不自然な印象を与える傾向にあることが示された.つまり,アンドロイドが主観的意見を述べる場合,その意見を持つに至る背景である共通基盤を形成することが,アンドロイドが主観的な意見を述べることの不自然さを解消する傾向にあることが示唆された.